建物や機器を実物で作る前に、広さ、配置、視線、操作の流れを確かめたい場合があります。
VRテストは、コンピューターで作った仮想空間を使い、利用者の行動や製品の体験を評価する方法です。
実物を作る費用を抑えられる場合がありますが、何を再現し、何を省いたかによって結論の範囲が変わります。

仮想空間で確かめる問い

たとえば、新しい駅の案内板の位置を検討するとします。
仮想空間に通路と案内板を置き、参加者が乗り換え先を探す行動を記録します。
立ち止まる場所、見た方向、誤った進路を選ぶ場面を、配置の違う案で比べられます。
ただし、文字の読みやすさを調べたいなら、表示装置の解像度や視野も評価の条件になります。

最初に、利用者、課題、比較する案、測定する結果を定めます。
現実の歩行と、コントローラーで移動する場合では、移動の感覚が違います。
混雑、音、照明を省いたなら、その条件での案内を検証したとは言えません。
必要な部分だけを再現し、残る差を明示します。

VR装置の影響を分ける

参加者が操作に慣れていないと、案内板ではなくVRの操作が行動を左右する可能性があります。
練習を設け、練習と本試験の結果を分けます。
気分が悪くなった場合に中断できるようにし、参加を続けた人だけの結果へ偏っていないかも確認します。
装置が合わない人を除いた場合は、その範囲を報告します。

VRによるAR環境の評価研究も、仮想環境で課題の成績や認知的な負荷を測る際の方法と限界を扱っています。
特定の研究で評価できたことを、あらゆる現実環境へ一般化しないようにします。
機器や移動方法、課題の違いを含めて研究結果を読みます。

現実の確認へつなぐ

駅の例なら、VRで候補を絞ったあと、実寸の案内板や現地の照明で読み取りを確かめます。
視線が向いたことと、意味を理解して正しく移動できたことも区別します。
好意的な感想だけでは、急ぐ人や異なる言語を使う人の行動を保証できません。
必要な利用者の条件を追加して確認します。

VRテストの成果は、映像の精巧さより、設計の判断に使える情報が得られたかで評価します。
実物の試験を置き換える範囲と、補助する範囲を明確にします。
現場条件の確認はフィールドテスト、個々の特性の比較は属性テスト、全体の適合は設計妥当性確認を参照してください。

参考資料