クオリティ・バイ・デザイン(Quality by Design、QbD)は、あらかじめ品質の目標を定め、製品と工程の理解に基づいて、要求する品質を実現する設計アプローチです。
完成品の結果を調べることに加え、どの材料や工程条件が品質へ影響するかを把握し、安定して作れる条件を考えます。

医薬品開発のICH Q8(R2)では、科学と品質リスクマネジメントに基づく体系的な開発アプローチとして定義されています。
医薬品の文脈で使うQbDを、単に「品質の良い設計」という意味だけで捉えると、工程の理解や管理という重要な部分が抜け落ちます。

目標から重要な特性を決める

まず、製品が意図する用途に必要な品質を定めます。
そこから、品質へ重要な影響を持つ特性を特定します。
医薬品では、こうした特性を重要品質特性(Critical Quality Attributes、CQA)として検討します。

次に、原材料の特性や工程条件のうち、何が重要品質特性へ影響するかを調べます。
過去の知識やリスク評価から候補を選び、必要な実験によって関係を確かめます。
多くの項目を測定するだけでなく、品質が変わる理由を説明できる知識を得ることが目的です。

たとえば、仮の製造工程で水分と乾燥条件の両方が仕上がりへ影響するとします。
それぞれを個別に確認するだけでは、条件の組み合わせによる変化を見落とすかもしれません。
実験では、何を変え、何を一定にし、どの範囲を調べたかを明確にします。

理解を工程の管理へつなげる

材料や工程と品質の関係が分かれば、受け入れ時に確認する項目、工程中に測定する値、異常時の対応を検討できます。
これらをつなげた管理の方針が、管理戦略です。
結果が外れてから原因を探すだけでなく、品質へ影響する変化を工程の中で把握することを目指します。

ただし、実験室で確認できた関係が、そのまま別の設備や製造規模でも成立するとは限りません。
知識が適用できる範囲と、追加の検証が必要な条件を分けて扱います。
運用後に得られた知識も、製品と工程の理解を更新する材料になります。

特定の道具と同一視しない

ICHの説明には、品質を満たす変数の組み合わせを扱うデザインスペースなどが登場します。
しかし、QbDを採用すれば、すべての案件で同じ道具を使うという意味ではありません。
また、工程を理解したことだけを理由に、必要な試験や確認を任意に省けるわけでもありません。

分野ごとの規制や品質システムの下で、目標、重要な特性、影響要因、管理方法のつながりを説明します。
他の製品開発に考え方を応用するときも、医薬品向けの用語や制度がそのまま適用されるとは考えず、対象の要求に合わせて設計します。

参考資料