試作品が動いたあとも、製品を繰り返し販売し、顧客へ届けるまでには多くの準備があります。
商品化(Commercialization)は、技術や製品を市場へ投入し、販売、提供、支援、収益化の仕組みを成立させる活動です。
発売日の発表と同じ意味にはせず、顧客が利用を始め、継続できる条件まで含めて考えます。

提供に必要な仕事をそろえる

たとえば、工場の振動を測る新しいセンサーを製品化するとします。
測定原理が成立していても、量産、梱包、設置、校正、故障時の交換が必要です。
販売担当者が説明できる資料、顧客が購入する契約、問い合わせの窓口も準備します。
誰が何を終えれば提供を開始できるかを、製品の開発とは別に一覧にします。

米国国立科学財団の事業化計画の整理も、市場、組織、技術と競争、収益の構造を含めています。
技術の完成だけで事業の成立を説明できないためです。
ただし、計画書の項目を埋めたことと、それぞれの前提を確認したことは区別します。

顧客と提供能力を一緒に確かめる

センサーの試行で、測定結果は高く評価されても、設置に熟練技術者が毎回必要なら販売費用が増えます。
価格へ転嫁できるか、設置方法を改めるか、対象を限定するかを比較します。
顧客が払う対価と、自社が負担する仕事を同じ条件で見ます。
発売後の支援を別部門へ渡す場合、その部門が能力と予算を持つかも確認します。

部品供給、製造の歩留まり、出荷までの期間も、本格展開で変わる可能性があります。
少量の手作りで成功した条件を、増産後も維持できると仮定しないようにします。
必要な品質の確認と、提供量を増やす検証を分けて行います。

発売の範囲を選ぶ

最初から全地域と全用途へ販売する必要はありません。
支援できる地域と、価値を確認した用途に絞れば、実績から学べます。
一方、限定した条件を顧客へ説明せず販売すると、想定外の用途の不具合を増やす恐れがあります。
利用できる範囲と必要な環境を明示します。

開始後は売上だけでなく、導入の完了、継続利用、返品、問い合わせ、提供費用を追います。
事業の前提と違う結果が出たら、開発の追加、販売方法の変更、提供範囲の縮小を検討します。
発売したことを完了とせず、運用からの学習を次の判断へ渡します。

研究成果を利用へ移す技術移転、販売条件の試行はテストマーケティング、全体の活動はクォーツオープンフレームワークを参照してください。

参考資料