製品の案を「業務を効率化するサービス」とだけ説明すると、対象とする仕事も、期待する効果も、人によって違って伝わります。
コンセプトステートメントは、誰のどの課題に、どのような製品やサービスで応えるかを短く示す説明文です。
開発チームで検討する案をそろえたり、顧客に示すコンセプトテストの材料にしたりします。

読み手が具体的に想像できる情報

記述の形式は目的に合わせて選べますが、次の情報があると、案の違いを比較できます。

  • 対象:どのような状況にいる顧客か。
  • 課題:その顧客が、何を達成できずに困っているか。
  • 提供物:どのような仕組みやサービスを届けるか。
  • 便益:利用すると、顧客の仕事や生活がどう変わるか。
  • 代替手段との違い:今使っている方法と比べて、何を選ぶ理由になるか。

各項目を長く説明する必要はありません。
機能の列挙に終わらないよう、機能と顧客にとっての変化を結びつけます。

点検記録サービスの記述例

設備の保守担当者向けに、次のような仮の案を考えます。

複数の建物を巡回する保守担当者向けに、現場の写真と点検結果を設備ごとに記録するサービスを提供する。
帰社後に写真を探して報告書へ転記している担当者が、点検中に記録をまとめ、報告書を作成できるようにする。

この文章は「誰が」「いつ」「何に困るか」を示しています。
ただし、転記が大きな負担になっていることも、現場で記録をまとめる方法が役立つことも、まだ仮説です。
説明文が具体的になったことと、需要が確かめられたことを区別します。

テストの結果を反映する

顧客に案を説明したら、相手の言葉で内容を説明し直してもらいます。
期待と違う理解が返ってきた場合は、用語が伝わっていないのか、提案自体が状況に合っていないのかを調べます。

点検記録の例なら、記録の手間よりも、報告先ごとに書式が違うことが負担かもしれません。
その証拠が得られれば、提供物を「現場で記録する仕組み」から「報告先に合わせて出力する仕組み」へ見直す余地があります。
変更した文章と根拠を残すと、開発チームが同じ前提で議論できます。

宣伝文として魅力を伝える場合と、調査用に案を説明する場合では、表現の目的が異なります。
調査では、根拠のない最上級表現や実証していない効果を加えると、案の中身への反応を確かめにくくなります。
提供する便益の整理は価値提案にもつながります。

参考資料