現場から有望な開発案が集まっても、すべてに人を割り当てることはできません。
ボトムアップ型ポートフォリオ選択は、個別案件を評価して候補を絞り、その組み合わせから投資対象を作る方法です。
提案が現場発だから採用するという意味ではなく、案件単位の比較から全体の構成を決めます。

同じ問いで候補を比べる

仮に、保守サービスの会社が、問い合わせ検索、現場記録の音声入力、新しい機器監視の三案を持っているとします。
それぞれの担当部門が「急ぐ」と主張するだけでは、どれを先に進めるか決まりません。
対象顧客、確認済みの問題、期待する便益、必要な資源、残る不確実性をそろえて比較します。
すでに販売中の製品の改良と、顧客さえ未確認の案では、根拠の確かさも分けて記録します。

Stage-Gate Internationalの説明では、案件の選択基準に戦略との整合を組み込むボトムアップの考え方を扱っています。
たとえば、新規契約を増やす方針なら、既存顧客の要望だけでなく、新しい購入者に届く理由も評価に含めます。
点数を付ける場合は、その根拠となった情報も残します。
合計点だけでは、推測に基づく高得点と、実測した結果の違いが見えません。

順位が高くても同時には進められない

検索と音声入力が上位になっても、同じ担当者が両方を開発するなら、同時着手はできないかもしれません。
前提になるデータ整備や、別案件の成果を使う関係も確認します。
順位表から上位を順に採るだけでなく、実行できる人員と期間で全体を組み直します。
監視の案に先行調査だけを許可する、といった段階的な投資も選択肢です。

また、短期の売上を説明しやすい案件が並ぶと、新しい市場を探る仕事が候補から落ち続ける場合があります。
見込みの不確かな探索に、確立した事業と同じ売上の精度を要求すると、比較自体が偏ります。
探索には次の判断に必要な情報を得る予算を置き、成功条件を調査結果で定める方法があります。

選ばれなかった理由も残す

案件の見送りは、アイデアの否定と同じではありません。
根拠が足りないのか、担当者が空かないのか、事業方針に合わないのかを区別します。
顧客の問題が確認できたら再評価するなど、候補へ戻す条件を示すと、提案者も次に調べることを判断できます。
採用後も、見込みが変わった案件を再評価する機会が必要です。

全体の偏りはバランス型ポートフォリオ、先に投資枠を設ける方法はトップダウン型ポートフォリオ選択と対比すると整理できます。

参考資料