技術の進歩を考えるとき、従来方式の改良を重ねる時期と、改良の前提となる方式が変わる時期を区別できます。
不連続イノベーションは、このような変化の切れ目を扱う用語です。
「不連続」が技術、顧客の行動、市場のどれを指すかで意味が変わるため、比較対象を示す必要があります。

ここでは、TushmanとAndersonの1986年の研究に基づき、技術の不連続性に着目します。
同研究は、漸進的な進歩の間に生じる、性能と費用の関係を大きく変える技術的な飛躍を分析しています。
新機能を追加した回数より、従来方式の延長でどこまで到達できるかが論点になります。

既存の能力との関係

この研究では、技術の不連続性と、企業が蓄えてきた能力との関係を二つに分けています。

  • 能力を強化する変化:既存の知識や技能を生かして、性能や効率を大きく向上させる。
  • 能力を陳腐化させる変化:新しい原理や方式に対応するため、従来とは異なる知識や技能を必要とする。

そのため、技術に大きな飛躍があっても、既存企業が常に不利になるとは限りません。
どの能力を再利用でき、どの能力を獲得し直すかによって、対応の条件が変わります。

塗装工程の方式変更で考える

仮の例として、加熱して乾かす塗装工程を、光で硬化する材料と装置へ替える計画を考えます。
新方式の試験では、処理時間や運転費用が、従来方式を改良した場合の水準からどこまで変わるかを比べます。
装置を新しくしたという事実だけでは、不連続な変化の根拠として不十分です。
使える材料や製品の範囲、必要な品質もそろえて比較する必要があります。

また、既存の搬送装置や制御の知識を使える部分と、新しい材料や光源について学ぶ部分を分けます。
一つの会社でも、製造部門の経験は生かせる一方、材料の評価方法は変える必要があるかもしれません。
企業全体を一括して「旧技術に強いから不利」と扱うと、再利用できる能力まで見落とします。

計画に使うときの限界

不連続という分類を、そのまま将来の成功予測には使えません。
試験で性能を示しても、材料の供給、装置の価格、顧客側の工程変更などによって普及は変わります。
計画段階では、「不連続な技術だから投資する」と決めるより、従来方式との比較、獲得すべき能力、導入の条件を検証可能な仮説として置きます。

また、破壊的イノベーションは、主流企業が優先しなかった顧客から市場へ進む競争の経路を扱います。
技術進歩の切れ目を扱う分類と同義にはできません。
名称を選ぶ前に、技術の性能が変わる話なのか、競争相手や顧客層が変わる話なのかを分けると、議論で必要な証拠が明確になります。

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