現在の技術を改善し続けるか、別の技術へ投資するかは、今の性能だけでは決まりません。
技術Sカーブは、技術の性能が、開発の初期にはゆっくり伸び、成長期に速まり、成熟すると伸びが緩やかになるという見方です。
Sカーブと同じ考え方を、技術の選択や開発投資の検討に使います。

比較する性能と条件をそろえる

仮に、部品を加工する二つの方式を比較するとします。
既存方式は加工速度が高い一方、これ以上速くすると不良が増えるとします。
新方式は現時点では遅くても、別の原理によって精度と速度を両立できる可能性があります。

この比較では、加工速度だけでなく、対象材料、精度、歩留まり、設備費用をそろえる必要があります。
一つの性能が伸びる余地があっても、顧客の要求する他の条件を満たさなければ採用できません。
技術性能と、製品として選ばれる条件を分けて評価します。

代替技術への投資を考える

既存方式の改善が小さくなったときは、その理由を確認します。
原理上の限界なのか、まだ改善していない工程があるのか、開発を止めたためなのかで、選ぶ対策が違います。
代替技術にも、研究段階の性能を量産で再現できるかという別の不確実性があります。

そこで、既存方式の改善計画と、新方式で確かめる課題を並べます。
新方式については、どの試験結果が得られたら次の投資へ進むかを定めます。
曲線の交点を一つの年に固定するより、判断を変える条件を共有する方が、変化へ対応しやすくなります。

曲線の限界

技術の進歩が、常に滑らかなS字になるとは限りません。
観測期間が短い場合は、成熟したのか、一時的に伸びが止まったのかを区別できないこともあります。
別の測定軸を選ぶと、同じ技術の評価が変わる点にも注意します。

性能の見込みと、製品への搭載時期、必要な能力をつなぐには技術ロードマップを使えます。
Sカーブは判断を支える仮説として用い、実験や顧客要求の確認を置き換えるものにはしません。

参考資料