紙の申請を画面に置き換えても、部門間の待ち時間や、顧客に何を提供するかが変わらないことがあります。
デジタルトランスフォーメーション(DX)は、データとデジタル技術を使い、顧客への価値提供や事業モデル、それを支える組織と業務を変革する取り組みです。
導入したシステムの数に加え、事業や顧客にどんな変化が起きたかを見ます。

デジタル化の範囲を分ける

紙の記録をデータにするデジタル変換は、情報の形式を変えます。
記録を共有し、承認や手配を改善するデジタル活用は、業務の進め方を変えます。
DXでは、これらを組み合わせながら、提供するサービスや収益の仕組みまで検討します。

必ずこの順番を一段ずつ進めるという意味ではありません。
何を変える必要があるかに応じて、既存の仕事を整える取り組みと、新しい事業を試す取り組みを選びます。

設備販売を変える仮の例

設備を売り切る会社が、稼働データをもとに保全サービスを提供するとします。
機器を通信可能にするだけでは、そのサービスは成り立ちません。
故障の予兆をどのように知らせるか、誰が現場を支援するか、利用料金で支援費用を回収できるかを設計します。

営業も、設備の仕様や価格を説明する仕事から、停止時間を減らす効果と契約条件を説明する仕事へ変わるかもしれません。
開発、営業、保守で共有する指標や権限も見直す対象です。
データの取得と、事業として使い続けられることを分けて確かめます。

着手と評価の単位

最初に、対象顧客、解決する問題、既存事業で変えたい制約を明らかにします。
次に、顧客の行動と社内の仕事がどう変わるかを描き、小さな対象で提供を試します。
利用率や売上だけでなく、支援に必要な工数、継続利用、既存業務への影響も観察します。

経営層が変える方針と、現場が改善できる範囲を共有しておくと、部門ごとのシステム導入だけに分散するのを避けやすくなります。
事業全体の仮説を整理するにはビジネスモデルキャンバスも使えます。

参考資料