同じ専門的な問題を、各部門が別々に調べ直していることがあります。
センター・オブ・エクセレンス(Center of Excellence、CoE)は、特定の専門能力を集め、知識、標準、実践支援を組織で利用できるようにする拠点やチームです。
すべての仕事を中央へ集める部署という意味ではありません。

専門性を現場の判断へつなぐ

たとえば、複数の製品チームが画像認識を使う企業で、学習データの品質や評価方法が毎回課題になるとします。
CoEは、データの確認方法、共通の評価環境、相談できる専門家を用意します。
各チームは顧客の用途や誤りの影響を理解し、自分たちの製品に必要な基準を検討します。
共通の基準だけで、あらゆる用途の安全性や価値を判断できるわけではありません。

支援の範囲と権限を示す

設置するときは、助言、教育、共通部品の提供、承認のうち、何を担うかを明確にします。
たとえばMicrosoftのクラウド向けCoEでは、技術だけでなく、組織の採用や統制に関わる機能も扱います。
同じ名称でも活動範囲は組織によって異なるため、呼称から決裁権を推測しないようにします。
必須の確認と任意の相談を分ければ、現場がいつ関与を求めるべきかを判断できます。

画像認識の例なら、機密情報を含むデータの利用条件は共通にし、画面の操作方法は製品チームで決める、といった分担が考えられます。
依頼の窓口、返答までの目安、チーム側が用意する情報も伝えます。
専門家が少ない場合には、支援を受けた人が次の案件へ知識を広げる方法も検討します。

中央への依存を増やさない

相談件数の多さだけを成果にすると、現場が自分で判断できるようになった変化を評価できません。
共通の方法が使われたか、同じ問題を調べ直す時間が減ったか、専門家を待たずに進められる範囲が増えたかを見ます。
現場の知識もCoEへ戻る経路を用意し、標準を更新します。
学習する組織や自律型チームを支える仕組みとして位置づけることができます。

参考資料