技術への投資を決めるとき、将来の性能を一つの数字で当てるだけでは、制度や利用条件の変化に対応できません。
技術フォーサイトは、技術の変化とその影響について複数の可能性を調べ、現在の研究や事業の選択に使う活動です。
OECDの戦略的フォーサイトの説明も、複数のあり得る将来へ備えるための探索として位置づけています。

技術だけで将来を決めない

たとえば、建物の点検へ小型ロボットを使う計画を考えます。
移動技術が進歩しても、作業場所の規則、通信、点検責任、顧客の費用負担によって使える場面は変わります。
技術の進歩と、利用を左右する条件を分けて集めます。
研究論文の成果が、そのまま現場で導入できる状態を意味するわけではありません。

最初に、何年程度先の、どの判断に使うかを定めます。
来期の部品調達を決める話と、将来の事業領域を選ぶ話では、必要な情報の粒度が違います。
公表された研究、試行の記録、規則の動きなどを調べ、出所と観察した時点を残します。
企業の宣伝と、再現可能な性能試験も区別します。

複数の前提で選択肢を比べる

ロボットの例なら、遠隔操作が中心の将来と、自律点検が認められる将来を考えられます。
それぞれで必要になる技術、人材、販売先、責任の条件を比較します。
両方で必要な画像記録の整理は先に進め、条件に依存する大きな設備投資は段階を分ける、といった判断ができます。
シナリオは予言ではなく、異なる前提に対する計画の弱い部分を見つけるために使います。

将来像を魅力的な物語に仕上げるだけでは、現在の仕事は変わりません。
何を観測すればその将来へ近づいたと判断するかを置きます。
規格の整備、運用費用、試行の採用状況などを継続して確認し、投資の前提を更新します。
観測する項目が多すぎるなら、判断を変える情報に絞ります。

専門家の意見の扱い

専門家は技術条件の説明に役立ちますが、意見が一致しただけで未来が確定するわけではありません。
どの分野の経験に基づくか、何を前提にしているかを残します。
技術の開発者に加えて、利用者や運用担当者から見た制約も取り入れます。
不一致は平均して消すより、異なる将来の条件として扱える場合があります。

技術の準備と製品展開を結びつける技術ロードマップ、複数の投入案を比べるポートフォリオ展開シナリオへ成果を渡します。

参考資料