「利用が増えた」と報告しても、登録者が増えたのか、必要な仕事を完了した人が増えたのかで、意味は変わります。
指標(Metrics)は、対象の状態や変化を、一定の定義で観察するための測定値です。
判断したいことに対して、何をどう数えるかを定めます。

成果と作業量を分ける

仮に、請求処理を改善するチームが、画面を三つ公開したとします。
公開した画面数は作った量ですが、請求の誤りや確認時間が減ったかは示しません。
期待する顧客の変化を先に置くと、何を測る必要があるかを選べます。

作業量の記録にも、見積もりや運用上の用途があります。
ただし、それを顧客価値の証拠として使う場合は、両者の関係を別に確かめます。
測りやすい数値だけで成果全体を代表させないようにします。

定義を記録する

指標には、対象、計算方法、分母、単位、期間、取得元、更新頻度を添えます。
「完了率」なら、開始した人を分母にするのか、対象となる全顧客を分母にするのかで、見える問題が異なります。
途中で定義を変えた場合は、その日付と影響を残します。

また、平均値だけで見えない対象の違いも調べます。
一部の大口顧客だけで利用量が増えた場合に、すべての顧客で改善したと受け取らないよう、必要な単位へ分けます。

数値が誘導する行動

問い合わせの処理件数だけを目標にすると、難しい案件が後回しになる可能性があります。
件数に加え、再問い合わせ、解決までの時間、未解決の理由など、別の情報も確認します。
指標を改善するための行動が、実際の目的に反していないかを観察します。

数値が変化したら、原因の仮説を立て、具体的な記録へ戻ります。
指標は原因を自動的に示すものではありません。
ダッシュボードはその判断を支える表示であり、業績指標は目的に応じて選ぶ指標の一群です。

参考資料