新しい事業へ進む際、「それは自分たちの会社がする仕事なのか」という疑問が出ることがあります。
組織アイデンティティ(Organizational identity)は、メンバーが自分たちの組織を何者と捉えているかという認識です。
Whettenの議論では、組織にとって中心的で、時間を通じた連続性があり、他との違いを示す特徴が焦点になります。

変化をどう説明するか

たとえば、測定機器のメーカーが、機器を売るだけでなく測定サービスを提供するとします。
自社を「高精度の装置を作る会社」と考える人には、運用を引き受ける仕事が専門外に見えるかもしれません。
「顧客が信頼できる測定結果を得るための会社」と考えれば、新サービスとの関係を説明できます。
どちらの言葉が正しいかを即断せず、顧客との約束、培った能力、過去の重要な判断を確かめます。

宣言と実際の認識を区別する

経営者が作った理念は、組織の自己認識を知る手がかりになりますが、それだけで全員の理解を表すわけではありません。
異なる部門の人が、組織を説明するときに何を挙げるかを聞きます。
採用、製品の選択、断った依頼など、具体的な決定へ結びつけると、言葉の違いを検討できます。
取引先や顧客からの見られ方も調べられますが、外部の評価と内部の自己認識は分けて扱います。

一貫性と変更を両立させる

組織の特徴を守ることは、製品や仕事の方法を固定することとは違います。
測定サービスの例なら、結果への信頼を守りながら、機器の所有者や料金の仕組みは変えられるかもしれません。
何を継続し、何を変えるかを具体化し、必要な技能や評価の変更も検討します。
新しい説明だけを発表しても、日々の判断が変わらなければ、メンバーは違いを理解しにくくなります。

文化は共有する前提や行動のあり方、組織風土は慣行への受け止め方に着目します。
これらを同じ意味で使わず、変えたい意思決定に合わせて、どの認識を確かめるかを選びます。

参考資料