「どこでも使えるサービス」という説明だけでは、顧客がどんな状況で、何を達成するのかが伝わりません。
コンセプトシナリオは、製品やサービスの案を、利用者の状況と行動の流れとして描く方法です。
機能の一覧に加え、その機能が必要になる前後を検討できます。

行動が起こる場面を描く

仮に、移動中に施設を予約するサービスを考えます。
利用者が空き時間を見つける、現在地から行ける施設を探す、条件を確かめる、予約するという場面を並べます。
電車が遅れたときや、予約後に時間を変更したい場合も描くと、必要な情報や支援が変わります。

シナリオには、利用者、きっかけ、達成したい目的、利用環境、主な行動、結果を含めます。
人物の経歴を詳しく作るより、その場面での判断に関係する条件を選びます。
実際の調査にもとづく点と、チームが仮定した点は分けて記録します。

案の不足を見つける

画面を開いてからの操作だけを描くと、製品を知るまでや、利用後の仕事が抜けることがあります。
施設予約の例なら、空きがない場合にどうするか、同行者とどう相談するかも調べます。
想定外の行動を失敗として排除せず、案の前提が合っていない可能性を検討します。

また、理想的に進む一本の話だけでは、対象による違いが見えません。
通信できない場合、初回利用、繰り返し利用など、設計に影響する条件を変えて比べます。
すべての例外を網羅する前に、判断を変える場面から扱います。

調査と設計への使い方

顧客にシナリオを示すときは、その状況が実際にあるか、行動の順序が自然かを確かめます。
チームの想像だけで整った物語を作っても、需要の証拠にはなりません。
違いが見つかったら、必要な機能だけでなく、対象顧客や提供条件も見直します。

短い文章で案の要点をそろえるにはコンセプトステートメント、場面を絵で共有するにはストーリーボーディングを使えます。
シナリオは、それらを実際の利用場面につなぐための材料です。

参考資料