具現化設計(Embodiment Design)は、選んだコンセプトを、具体的な配置、形状、材料、構造へ発展させる設計活動です。
原理として成立する案を、機能、強度、生産、組立、利用、費用の面から確認できる構成へ変えます。
Pahlらの『Engineering Design』の該当章は、コンセプトから詳細設計につなぐ段階として、この活動を説明しています。

原理が同じでも構造は異なる

仮に、空気を吸い込んでほこりを集める小型装置を考えます。
吸引するという原理を選んでも、ファン、フィルター、電源、回収容器の配置は決まっていません。
配置によって、空気の流れ、騒音、熱、持ちやすさ、清掃のしやすさが変わります。
各部品が単独で働くことと、組み合わせた製品が成立することを分けて確認します。

最初に、寸法や配置に強く影響する要求を整理します。
必要な流量、設置できる空間、持ち運ぶ人、清掃する場所などをもとに、複数の配置案を作ります。
外観の一案を早く固定するより、内部の流れや接続、必要な余裕を確認しながら案を絞ります。
模型、図面、解析、試作は、確かめたい点に合わせて使い分けます。

全体と細部を往復する

部品の形状や材料を変えると、加工方法、接続、放熱などにも影響します。
そのため、具現化設計は、決めた順に一度だけ図面を描く作業にはなりません。
案を具体化し、新たに分かった制約で見直す往復が必要です。
判断を戻せるように、案を選んだ理由と、まだ確定していない前提を残します。

コンセプト設計では、どの原理や仕組みで目的を達成するかを探索します。
具現化設計では、それをどの配置と構造で成立させるかが中心になります。
その後の詳細設計では、生産へ渡せるように個々の寸法、公差、材料などを確定します。
ただし、境界は必ずしも明確ではなく、詳細を調べて全体の配置へ戻る場合もあります。
立体モデルが完成したことだけで終了とせず、主要な要求と製造や保守の条件を確認できる状態を目指します。

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