シックスシグマ設計(Design for Six Sigma、DFSS)は、顧客が求める品質を製品や業務の設計に織り込み、実際の使用や運用で生じるばらつきまで考慮するアプローチです。
完成後の不具合を減らすには、検査の精度を上げるだけでなく、要求の決め方、構造、材料、作業手順を設計段階で検討する必要があります。

既存工程の改善では、現在の工程を測って原因を探せます。
新しい製品には、そのような実績データがありません。
DFSSでは、顧客の要求を測定可能な品質特性へ変換し、複数の設計案を比較しながら、実験や試作で設計の根拠を増やします。

顧客の言葉を設計条件に変える

仮に、屋外で使う計測器を開発するとします。
「現場で安心して使える」という要求だけでは、設計案を評価できません。
温度が変わったときの測定誤差、落下後の動作、手袋を着けた状態での操作などに分け、必要な性能と試験条件を定めます。

次に、各特性が部品や工程にどう依存するかを調べます。
公称値では要求を満たしていても、部品寸法、材料、周囲の環境が変われば性能が外れるかもしれません。
平均的な条件に加え、使用条件の幅を見込んで設計することが重要です。

手順の名称より検証内容をそろえる

DFSSには単一の手順だけがあるわけではありません。
ASQの教材では、DMADV、IDOV、DMEDIなどが紹介されています。
段階の呼び方が異なっても、顧客要求の把握、設計案の比較、性能の最適化、実使用に近い条件での確認が欠かせません。

審査では、文書が完成したかだけでなく、重大な要求にどのような証拠があるかを確認します。
試作品が一度動いたという事実と、量産品が安定して要求を満たすという判断は別です。
未確認の条件、ばらつきの見積もり、残る故障の可能性を記録し、次の検証に引き継ぎます。

導入の判断

既存の工程を維持しながら問題を改善するなら、DMAICが適する場合があります。
要求を満たすために構造や工程そのものを作り直す必要がある場合に、DFSSの設計活動を検討します。

すべての開発に同じ量の統計解析や文書を課す必要はありません。
失敗したときの影響、要求の厳しさ、設計の不確実性に応じて検証の深さを決めます。
DFSSの価値は、手順を増やすことではなく、後から直すには高くつく設計上の問題を、変更可能な段階で見つけることにあります。

参考資料