製品は操作できるだけでなく、見たときの印象や、使い続けて感じる誇り、不安にも関わります。
感性デザイン(Emotional design)は、製品の外観、使い方、意味づけと、利用者の感情の関係を考えて設計することです。
Don Normanの解説は、第一印象、使用時の振る舞い、所有や意味を振り返る側面を分けています。
ここではその三つの見方を使います。

印象と使用と意味を分ける

たとえば、家庭用の空気清浄機を考えます。
部屋へ置きたいと思える外観は、初めて見るときの評価に関わります。
状態がわかり、設定と手入れを迷わず行えることは、使用時の体験です。
家族を気遣う自分の行動や、長く使った経験と結びつくことは、製品の意味に関わります。
どれか一つの高評価が、残りを自動的に満たすわけではありません。

外観を整えても、交換部品の入手が難しければ、使用後の不満が残ります。
操作が簡単でも、置くと圧迫感が強いなら、購入前の比較で選ばれないかもしれません。
同じ製品の異なる場面として調べます。

感情を生む条件を調べる

利用者の反応は、色や音だけでは決まりません。
空気の状態が不明なこと、誤操作したか判断できないこと、手入れを忘れたことなどが感情に関わります。
具体的な出来事と、本人が守りたいことを確かめます。
DesmetとHekkertの製品体験の枠組みも、美的な経験、意味、感情を分けて整理しています。

たとえば、警告を強い音へ変える案では、気づきやすさと、家庭での不快さを両方確認します。
安心を目指すなら、根拠なく「安全です」と表示するより、現在の状態と必要な対処を正確に伝える方法を検討します。
利用者が判断できることと、単に好ましい印象を与えることは別です。

評価する時点を選ぶ

初見の好み、短い操作、数週間の使用では、得られる情報が異なります。
外観のアンケートだけで、長期の愛着や信頼まで確認したとは言えません。
試作を使う行動と、使ったあとに振り返る説明を組み合わせます。
対象者の生活と好みの違いも残します。

感情に配慮することは、必要な機能や品質を軽く扱う理由にはなりません。
基本の目的を達成できる条件と、感情を生む条件を合わせて設計します。
操作の接点はユーザーインターフェイス、体験全体はユーザー体験、出来事ごとの反応は創発的感情を参照してください。

参考資料