組織がどんな仕事を引き受けるかは、個々の製品の機能より長く続く判断です。
ミッション(Mission)は、組織や製品が誰に何を提供し、どのような役割を果たすかを示すものです。
用語の使い分けは組織によって異なりますが、将来の望ましい状態を描くビジョンとは、説明する対象を区別できます。
Bainの整理も、ミッションに事業、対象者、目的、取り組み方を含めています。

製品名を外して役割を考える

たとえば、自治体向けに申請管理ソフトウェアを提供する会社を考えます。
「申請管理ソフトウェアを販売する」は現在の提供物を説明しています。
「住民が必要な手続きを迷わず終えられるよう、自治体の窓口業務を支える」とすれば、誰のどの活動を支えるかが見えます。
ただし、これは仮の記述であり、実際には顧客と職員が困っている状況に照らして検討します。

役割を広く書けば、何でも取り組めるという意味にはなりません。
窓口業務と無関係な広告事業の提案が出たとき、その提案がミッションにどうつながるかを問い直せます。
反対に、ソフトウェア以外でも、手続きの案内を改善する支援が役立つなら、現在の製品名だけで排除せずに検討できます。
採用と見送りの両方の判断に使えるかが、記述の具体性を点検する手掛かりです。

日々の判断へつなぐ

ミッションから直接、一つの機能の優先順位が決まるわけではありません。
対象地域、提供能力、費用などを踏まえた戦略を置き、その下で開発の目標を定めます。
先ほどの例なら、住民の手続き完了率を上げるため、まず申請前の案内を改善するのか、差し戻しを減らすのかを選びます。
ミッションはその選択の方向を支え、指標は具体的な変化を確かめます。

社内向けの説明と顧客向けの説明が食い違っていないかも確認します。
職員の効率化を掲げながら住民への入力負担だけを増やす案なら、誰に何を提供するという約束との関係を点検します。
言葉の一致だけでなく、実際の製品と支援の内容から評価します。

見直しの範囲

短期の売上目標が変わるたびにミッションまで変えると、組織として引き受ける役割が定まりません。
一方、対象者や事業の性質が大きく変わったなら、過去の表現が今の仕事を説明できるかを見直します。
表現を更新するときは、単なる言い換えか、役割を変える判断かを区別して共有します。

将来像を描くビジョン、具体的な取り組みを選ぶマーケティング戦略、開発の範囲を決める製品イノベーション憲章とつなげて使います。

参考資料