新しい製品の売上が伸びても、その一部は従来製品から移っただけかもしれません。
カニバリゼーション(Cannibalization)は、自社の新製品や施策が、自社の既存製品の売上や利用を置き換える現象です。
新製品の売上と、事業全体に増えた売上を分けて考えるときに使います。

新製品だけの実績では判断できない

たとえば、月額制の業務サービスに低価格プランを加え、百社が契約したとします。
そのうち何社が新規顧客で、何社が上位プランから移ったかによって、事業への影響は変わります。
新しい契約件数だけを成果にすると、契約総数が増えても収入が減る状況を見逃します。
移行元、継続期間、支援にかかる費用まで追う必要があります。

ここでは、新規顧客、既存プランからの変更、解約寸前からの継続を分けて記録します。
上位プランから移った顧客でも、低価格プランがなければ競合へ移った可能性があります。
そのため、移行した顧客の売上をすべて損失と見なすと、効果を過小評価します。
比較対象は「新プランを出さなかった場合にどうなったか」ですが、これは直接観察できないため、実験や比較による推定が必要です。

売上と便益の両方を見る

仮の例で、旧プランから移ると月額料金が下がっても、問い合わせが減り提供費用も下がるなら、利益への影響は売上だけではわかりません。
反対に、低価格でも同じ個別支援が必要なら、契約が増えるほど負担が増える場合があります。
価格差、利用量、サポート、顧客が残る期間をそろえて判断します。
PDMAの用語集は、自社の既存製品から新製品へ売上が移る現象としてこの用語を扱っています。

プラン間の違いを設計するときは、顧客が必要な範囲に応じて選べるかを確認します。
機能の説明が曖昧で、必要な機能を失うことに気づかず変更したなら、解約や問い合わせの原因になります。
移行画面、料金の適用日、データの扱いも含めて体験を確かめます。

意図して置き換える場合

従来製品の維持費が増え、新製品へ移行してもらう方針なら、置き換え自体が狙いになります。
その場合は、新規売上の目標とは別に、移行率、失う顧客、二重運用を終えられる時期を設定します。
部門ごとの売上目標が移行を妨げていないかも確認します。
一時的な売上減だけで中止を決めず、移行に必要な費用と完了後の提供体制まで比較します。

製品群全体の判断は製品ポートフォリオ、対象顧客と価格の設計は市場セグメンテーションにつながります。

参考資料