製品の材料費だけを見ても、工場で作るために必要な費用の全体はわかりません。
工場原価は、ここでは製造に要する原価として、直接材料費、直接労務費、製造間接費を合わせた範囲を指します。
OpenStaxの製造原価の整理も、この三つを区別しています。

直接追える費用と共通費用

仮の例として、小型ポンプを製造する工場を考えます。
本体やモーターの材料、組立作業に直接必要な労務費に加え、工場の設備、保全、共通の検査などの費用があります。
どの製品へ直接追えるかと、製品間で配分する必要があるかを分けます。
材料を安くしても、組立や検査が増えれば、製造全体の原価は上がる可能性があります。

一個あたりの原価を計算するときは、対象期間、数量、配分基準を示します。
同じ設備費でも、作る数量が変わると一個あたりの負担は変わります。
機械時間で配分する場合と、作業時間で配分する場合では、製品ごとの見え方が異なります。
基準を変えた比較は、費用そのものの変化と区別します。

設計と生産の判断に使う

ポンプの設計案を比べるなら、部品費、加工、組立、不良、検査、保全への影響を調べます。
量産を始めた直後の歩留まりと、作業が安定した時点の原価も同じではありません。
初期の実績、安定時の予測、目標値を別々に残します。
設計変更による効果を、単に材料の差額だけで説明しないようにします。

工場原価は、顧客へ提供する事業の全費用とは区別します。
開発、販売、配送、保守、管理などをどこに含めるかは、評価の目的や社内の原価体系に依存します。
製造原価が価格を下回っていても、事業全体で利益が出るとは限りません。
外注と内製を比べる場合も、購入価格と自社の一部の費用だけを比較しないようにします。

また、配分された費用が、製品を一個減らしたときに同額だけ減るわけではありません。
追加生産や生産中止の判断では、実際に変わる収支を確認します。
計算に含めた範囲と前提を共有し、原価表を設計、数量、提供条件の判断に使います。

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