売上の大きな製品を持っていることと、その成功を別の市場でも再現できる能力を持つことは違います。
コアコンピタンス(Core competence)は、組織が蓄えてきた知識や技能を結びつけ、顧客への便益と複数の事業機会を支える能力です。
単に得意な作業や、一つの特許の保有と同じ意味で使うと、育てる対象が曖昧になります。

製品から能力を分けて考える

仮に、工業用の計測器で成功した会社があるとします。
その強みは、販売中の一機種そのものではなく、微小な信号を安定して取り出し、現場で校正して使える状態にする設計と製造の組み合わせかもしれません。
その能力を別の検査装置にも使えるなら、製品をまたいで投資する意味があります。
一方、特定顧客だけの要件に詳しいことは有用でも、それだけで広い事業の中核能力とは判断できません。

PrahaladとHamelの原論文は、市場への広がり、顧客が認める便益、模倣の難しさから能力を検討しています。
この問いを使うなら、対象の能力が実際に役立った製品と、顧客の選択理由を示します。
社内で「独自性が高い」と評価するだけでは、顧客への便益は確認できません。

能力を支える仕事を特定する

先ほどの計測器なら、設計者の知識、製造条件、校正手順、現場の失敗記録が結びついている可能性があります。
どれか一つを残しても、同じ品質を再現できるとは限りません。
組織変更や外部委託を検討するときは、製品の費用だけでなく、その知識を学び直す経路が残るかも確認します。
図面を渡せば必要な能力まで維持できる、とは限らないためです。

育成の計画には、担当者の訓練、実験設備、失敗の共有、異なる事業間の人の移動などを含めます。
「強みを活用する」と書くだけでは、案件ごとの短期利益に押されて投資が途切れます。
どの製品群がその能力を使い、誰が品質と更新を担うかまで決めます。

過去の強みを固定しない

市場の条件が変われば、同じ能力の価値も変わります。
精度を高める設計に強くても、顧客が求めるのが設置の容易さなら、別の能力が必要になります。
顧客の変化と、自社の能力を生かせる範囲を同時に調べます。
既存の強みから離れた案をすべて排除すると、新しい能力を得る機会まで失う場合があります。

共通の技術資産を製品群へ展開する方法は製品プラットフォーム、不足する能力を外部と補う方法はアライアンスを参照してください。

参考資料