既存事業で安定した収益を得ながら、新しい市場にも進みたい企業では、効率と探索の両方が求められます。
分析型企業(Analyzer)は、MilesとSnowの戦略類型で、安定した製品市場の領域と、変化する領域を併せて扱うタイプです。
単にデータ分析が得意な企業を指す名称ではありません。

二つの仕事に違う仕組みを使う

たとえば、長年販売している業務用機器を持つ企業が、遠隔監視サービスを追加するとします。
機器事業では、品質を安定させ、部品や製造工程の効率を改善します。
新サービスでは、他社の動向や顧客の利用状況を確かめ、導入条件と収益の仕組みを探ります。
既存事業の基準だけで評価すると、不確実な新領域の案件が常に後回しになる可能性があります。

検討する判断の境界

分析型の方針を採るなら、何を安定させ、どこを変えるかを明確にします。
機器の安全性や保守品質は共通の基準を守りながら、新サービスの価格や導入方法には実験の余地を残す、といった区別です。
新領域の仕事にも無制限の自由を与えず、調査に使う期間と資源、次に投資を判断する材料を決めます。
共通の営業や技術資源を使う場合は、どちらの案件を先に扱うかを調整する場も必要です。

先行企業が成功したように見えても、自社の顧客や能力で同じ結果になるとは限りません。
参入の判断では、市場の存在に加えて、自社が提供できる違いと、既存事業への負荷を調べます。
「他社を待ってから同じものを作る」という手順だけでは、分析型の戦略と組織を設計したことにはなりません。

類型を使う目的

この類型は、企業を優劣で並べるためのものではありません。
安定した領域を守る防衛型企業や、新しい機会を探す探索型企業との比較を通じて、戦略と組織の整合を考えるために使えます。
同じ企業でも、事業によって重点は異なり得ます。
自社を一語で分類して終えず、評価基準、資源配分、決定権が二つの仕事に対応しているかを確認します。

参考資料