顧客の属性を範囲だけで示すと、設計の議論で、都合のよい利用者をそのつど想像してしまうことがあります。
ペルソナは、調査した利用者の目的、行動、制約を、代表的な人物像として表したものです。
Nielsen Norman Groupの説明も、具体的な調査に基づく、架空だが現実的な対象像としています。
実在する一人の伝記や、チームの好みで作る人物設定とは区別します。

判断に必要な共通点をまとめる

たとえば、出張の申請サービスを作るために、複数の社員へ話を聞いたとします。
旅程を自分で決める人と、部署の事務担当者へ任せる人では、必要な情報と操作が違うかもしれません。
年齢や好きな食べ物を先に埋めるより、目的、頻度、現在の手順、困る場面を比べます。
設計の判断を変える共通点から、代表的な像を作ります。

名前や写真は覚える補助になりますが、調査した条件を変えてよい理由にはなりません。
架空の発言を、実際のインタビューの引用のように載せないようにします。
原文、集約した内容、まだ仮説の部分をたどれる状態にします。

使う場面を具体化する

申請サービスの例なら、日程を調べながら入力する場面と、代理で複数人分を処理する場面を試せます。
ペルソナの名前を出して「この人なら好きだ」と推測するだけでは、評価になりません。
その目的と条件で、試作品を使って仕事を終えられるかを確かめます。
判断が割れた場合は、元の調査へ戻ります。

主要なペルソナを選ぶことと、その他の利用者が不要であることも別です。
アクセシビリティ、まれだが影響の大きい仕事、管理者の運用など、頻度だけで省けない条件を確認します。
代表像へまとめる過程で例外を失わないようにします。

仮説としての像を更新する

調査がない段階で、チームの仮説を人物像へ整理する方法もあります。
その場合は、調査済みのペルソナと明確に区別し、何を確かめるための仮説かを示します。
体裁が整っていることで、根拠まであるように見せないことが必要です。

新しい利用者と用途が増えたら、対象像が今も当てはまるかを見直します。
使っていない資料を維持するより、どの判断へ使うかを確かめます。
既存の解説はペルソナ、市場の分け方は市場セグメンテーション、経験の流れはジャーニーマップを参照してください。

参考資料