製品の味、香り、触感は、機械で測った成分や寸法だけでは評価しきれない場合があります。
官能テストは、人の感覚を用いて、製品の感覚的な特性や違い、好みなどを評価する試験です。
「違いがわかるか」と「どちらが好きか」は別の問いとして設計します。
ISO 5495の概要も、二つの試料について感覚属性の強さの違いを比較する試験を説明しています。

違いと好みを分ける

たとえば、飲料の糖分を減らす改良を考えます。
まず、従来品と改良品の甘さの違いを知覚できるかを調べられます。
次に、対象の消費者がどちらを好むか、実際に飲む場面で受け入れられるかを調べます。
違いを感じた人が、必ず改良品を嫌うわけではありません。
違いが小さいことと、好まれることも同じ結果ではありません。

特性の強さをそろえて評価する訓練を受けた人と、購入対象の消費者では、調べる目的が異なります。
専門的な評価で香りが明確に変わったとしても、消費者の購入を予測できたことにはなりません。
対象者を選ぶ理由と、求める回答を明示します。

提示の条件をそろえる

飲料なら、温度、量、容器、開封後の時間が評価へ影響する可能性があります。
商品名、色、説明が期待を変える場合もあるため、何を伏せ、何を見せるかを目的に応じて決めます。
味だけを比較したい場合と、包装を含む全体の魅力を知りたい場合では、適切な条件が違います。

試料の順序、休止、口をすすぐ方法などを計画し、疲労や前の試料の影響を抑えます。
複数の試料を長時間評価すると、実際の飲用とは異なる状態になるかもしれません。
体調、アレルギー、参加条件、試料の安全な取り扱いは、試験前に確認します。

数値の意味を限定する

評価点の平均が高くても、参加者の選び方が偏っていれば、市場全体の評価とは限りません。
点数の尺度と、どんな質問へ答えたかを示します。
少人数の結果で小さな差を断定せず、試験方法と必要な標本数に合った分析を行います。

飲料の例なら、甘さの受容性が確認できても、価格、容量、家庭での保存は別の条件です。
米国食肉科学協会の官能評価ガイドも、好みを調べる試験と製品特性を測る試験を分けています。
個別特性の確認は属性テスト、販売時の選択はテストマーケティングへつなげます。

参考資料