既存の資料だけでは、自社の製品を誰がどの条件で選ぶかまで答えられない場合があります。
一次市場調査は、いまの判断のために、新たに顧客や市場から情報を集める調査です。
聞き取り、観察、質問票、実験など、目的に応じて方法を選びます。
米国中小企業庁のガイドも、既存情報と、顧客へ直接聞く調査を使い分けています。

足りない情報を特定する

たとえば、小さな宿泊施設向けの清掃管理サービスを検討するとします。
公的統計で施設数を調べても、どの担当者が部屋の状態をどう共有しているかまではわかりません。
現場の仕事を観察し、直近の部屋変更や清掃漏れの経緯を聞くことで、自社案に必要な理解を得られます。
調査を始める前に、何がわかれば機能や対象を選べるかを書きます。

一次調査だから情報が正しい、と自動的に評価することはできません。
質問の表現、参加者の選び方、調査者の同席によって結果は変わります。
「この機能があれば便利でしょう」と聞けば、設計者の期待に沿う回答が増える可能性があります。
具体的な過去の行動と、現場で確認できる資料を組み合わせます。

対象と記録を設計する

宿泊施設の例なら、客室数だけでなく、清掃の委託、担当者の交代、繁忙期の違いを検討します。
営業が会いやすい施設だけでは、未導入の施設や失注先の条件が抜けるかもしれません。
対象を選ぶ理由と、含められなかった範囲を記録します。
少数の聞き取りで広がりを推定するのか、仮説を発見するのかも分けます。

実施時には、日付、条件、発言、観察を残します。
同じ質問で比較したい部分と、参加者の話に応じて追加した部分を区別すると、後で違いを読み取りやすくなります。
録音や写真が必要なら、目的と共有範囲を説明して合意を得ます。

得られた情報を判断へ戻す

清掃状況が共有できない原因が、画面の不足ではなく担当者の所在がわからないことなら、別の解決策を検討できます。
得た情報を当初の案へ都合よく当てはめず、反する事実も残します。
調査後は、確認済みの問題、仮説、次に必要な証拠を分けます。

新たな調査には募集と実施の費用がかかるため、既存情報で答えられる問いは先に処理します。
両者は排他的ではありません。
既存情報を使う二次市場調査、意味と経緯を見る定性市場調査、割合を調べる定量市場調査を合わせて設計します。

参考資料