顧客の年齢、利用頻度、購入金額、満足度を一項目ずつ見るだけでは、複数の特徴が組み合わさった違いを見落とすことがあります。
多変量解析は、複数の変数の関係や構造を同時に調べる統計的方法を広く指す言葉です。
一つの決まった計算法の名称ではないため、何を明らかにしたいかに応じて手法を選びます。

問いによって方法が変わる

たとえば、次の問いは、それぞれ必要な分析が異なります。

  • 多数の測定項目を少数にまとめたいなら、主成分分析を検討する。
  • 複数の回答項目の共通した変動を説明したいなら、因子分析を検討する。
  • 対象どうしの似ている程度を地図にしたいなら、多次元尺度構成法を検討する。
  • ある結果と複数の条件の関係を表したいなら、重回帰分析などを検討する。

分野によって「多変量」の範囲は異なり、複数の結果変数を扱うモデルに限定する用法もあります。
資料を読む際には、どの変数を、どの目的で同時に扱っているかを確かめます。

同じ対象を測った値か

仮に、店舗ごとの売上と、個人ごとの満足度を分析するとします。
店舗の月間売上を各回答者へ繰り返して割り当てると、独立した店舗の数が回答者の数だけあるように扱ってしまう可能性があります。
一行が個人なのか、店舗なのか、期間なのかを決め、結びつけ方を確認します。

数値の尺度、欠測、外れ値、標本の偏りも、方法の選択に影響します。
ソフトウェアが計算できることと、その結果を目的に沿って解釈できることは別です。

分析を施策につなげる

関係が見つかったら、対象を分けた場合にも同じ傾向があるか、別の説明がないかを検討します。
似た顧客がまとまったとしても、そのグループへ違う製品を提供すべきかは、別に判断する必要があります。
統計的な構造に加え、顧客の状況や事業上の制約を調べます。

手法名から始めず、問い、対象、データの意味、分析結果で変える判断を先に示すと、結果を過大に読みにくくなります。
分析後に残る疑問も整理し、追加の調査や実験へつなげます。

参考資料