同じ顧客の問題にも、機能、提供方法、料金の組み合わせが異なる解決策を考えられます。
コンセプト創出は、初期の着想を、誰がどの場面で何を得るかまで説明できる製品案へ育てる活動です。
NASAの設計解の定義プロセスも、要求を満たす複数の設計案を作り、比較する進め方を扱っています。

機能の一覧から提供の仕組みへ

仮の例として、小規模店舗の棚卸し時間を減らす製品を考えます。
スマートフォンで商品を読み取る案、仕入れ伝票から在庫を推定する案、棚卸しを代行する案では、必要な技術も顧客の作業も違います。
どの案にも「時間短縮」と書くだけでは、比較に必要な違いが消えます。
対象店舗、入力する人、使うデータ、確認する結果、対価の払い方まで記述します。

一枚の説明には、顧客の現状、提供する仕組み、期待する変化、成立に必要な条件を置きます。
画面の絵だけでなく、利用開始から結果を得るまでの作業を示すと、営業や運用の担当者も検討に参加できます。
数値が未確認なら、実績のように表示せず、検証したい目標として明記します。

異なる案を残して試す

最初の案に細部を足すだけでは、提供方法の選択肢が広がりません。
棚卸しの例なら、店員の入力を助ける案と、入力自体を外部へ任せる案を別々に残します。
そのうえで、商品の識別ができるか、記録がそろうか、代行者が店舗へ入れるかを確認します。
案によって成否を左右する前提が違うため、同じ試作品で評価する必要はありません。

コンセプトは、完成した仕様とは区別します。
顧客への説明に好意的な反応があっても、日々の作業に組み込めるか、契約するかは別の確認です。
検証後は、どの要素が支持され、どの条件が成立しなかったかを反映します。
不成立の案も理由を残せば、同じ案が再登場したときに判断を引き継げます。
絞り込みの前に違いを十分に説明できる状態にすることで、開発費だけでなく提供方法も含めた選択が可能になります。

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