保守性設計(Design for Maintenance)は、点検、清掃、診断、部品交換、復旧などを、想定する作業者が無理なく実施できるように、製品を設計するアプローチです。
保守は運用中に行う作業ですが、その時間や難しさは、設計時の構造や配置に大きく左右されます。

故障しにくさと、故障後に直しやすいことは別の特性です。
長寿命の部品を採用しても、故障箇所を特定できず、交換に製品全体の分解が必要なら、停止が長引く可能性があります。

作業の条件から構造を考える

仮に、店舗で使う冷却装置のファンを交換するとします。
交換用の部品があっても、装置の背後へ回れない、配線を外す順番が分からない、ねじを回す空間がないといった問題があれば、作業は進みません。

誰が、どこで、どの道具を使い、どの時間内に作業するのかを先に定めます。
保守担当者が訪問する場合と、利用者自身が消耗品を交換する場合では、想定できる技能や装備が異なります。
手袋の使用や照明、設置場所の狭さなども設計条件になります。

構造では、交換頻度の高い部品へアクセスしやすくする、必要な部分だけを取り外せるようにする、接続を間違えにくくするといった工夫が候補になります。
道具や手が入るだけでなく、作業箇所が見えることも確認します。

診断から復旧確認までを設計する

保守時間は、取り外しと取り付けの時間だけではありません。
不具合の特定、必要な部品や道具の準備、調整、復旧後の確認も含みます。
診断情報や表示、部品の識別、適切な手順書も、製品を保守するための重要な要素です。

異常の表示が曖昧なら、正常な部品まで交換するかもしれません。
交換できても、接続や調整が正しいか確かめられなければ、再稼働の判断ができません。
保守作業の初めから終わりまでを、試作品で通して確認します。

製品全体の条件と調整する

分解しやすさを高める変更が、防水性や強度、製造費へ影響する場合があります。
交換単位を大きくすれば作業は速くても、部品代や廃棄量が増えるかもしれません。
停止時間、作業費、部品費を合わせ、利用期間全体で比較します。

サービス性設計とは重なる部分が多く、資料によって範囲も異なります。
用語だけで分担を決めず、製品の構造に加え、補修部品、教育、問い合わせ対応まで、誰が整えるかを明確にします。
なお、DFMは製造性の設計を指す略語としても使われるため、資料では正式名称を併記すると誤解を減らせます。

参考資料