操作の失敗に驚く、完了を見て安心するなど、製品の使用中には特定の出来事をきっかけに感情が起こります。
創発的感情(Emergent emotions)は、感情研究の用法では、出来事によって生じる比較的短く強い感情エピソードを指します。
W3Cの感情に関する調査報告も、この意味を、気分や長期的な態度などと区別しています。
ここではその用法で、製品の体験中に起こる感情を考えます。

出来事と反応を対応させる

たとえば、振り込みを申し込んだあと、画面が長く変わらない場面を考えます。
利用者は、処理が失敗したか、二重に送ったかと不安になるかもしれません。
完了が確認できると、安心へ変わる可能性があります。
同じ画面でも、送る金額、過去の経験、急いでいる事情によって反応は異なります。

調査では、どの出来事の前後で、本人が何を感じたかを記録します。
あとで製品全体の満足だけを聞くと、短い変化が見えなくなる場合があります。
操作の時系列と、本人の説明を結びつけると、改善すべき場面を特定できます。
ただし、調査者が表情だけを見て感情を断定しないようにします。

感情の解釈を確かめる

立ち止まった行動は、不安、考えごと、単なる中断のどれでもあり得ます。
本人へ具体的な場面を示して尋ね、観察と解釈を分けます。
「不安でしたよね」と誘導せず、その時点で何を確認したかったかを聞きます。
発言がない部分は、確定した感情として図へ載せないようにします。

振り込みの例なら、処理中の状態、完了の記録、重複操作の扱いを改善案にできます。
明るい色や励ましの言葉を増やすだけで、結果の不確かさが解消するとは限りません。
感情を生んだ条件へ対処し、次の試験で利用者が判断できるかを確かめます。

満足や愛着と分ける

短い喜びと、長く使う中で形成される愛着は、同じ測定対象ではありません。
一度驚かせたことから、継続利用や信頼が高まったとは判断できません。
出来事ごとの反応と、体験全体への評価を分けて残します。
感情を分類する方法には複数の理論があり、一つの一覧で全員の経験を説明できるとは限りません。

調査の対象と記録方法を明確にし、設計で変えられる条件へつなげます。
体験全体はユーザー体験、設計の見方は感性デザイン、時系列の整理はジャーニーマップを参照してください。

参考資料