新しいサービスを考えるとき、「作れるか」と「顧客がお金を払って使うか」は別々の疑問です。
開発を終えてから後者を確かめると、前提が外れた際の損失が大きくなります。
リーンスタートアップは、不確実性の高い事業について仮説を立て、顧客の反応を測り、証拠にもとづいて進め方を変えるための方法です。

Eric Riesは、進捗を測る単位として「検証による学習」を挙げています。
完成した機能の数に加え、事業のどの前提が確かめられたのかを見ます。

検証する前提の選び方

仮に、飲食店の余剰食材を近隣店舗に販売するサービスを考えているとします。
アプリの機能を決める前に、次の前提を分けて確認します。

  • 店舗では、他店に渡せる状態の余剰食材が継続的に発生する。
  • 買い手は、受け取りの手間を含めても購入したいと考える。
  • 品質管理や配送に必要な費用を差し引いても、事業が成り立つ。

すべてを同時に確かめる必要はありません。
「売り手はいるが買い手がいない」なら取引が成立しないため、まず実際の品目と受け渡し条件を示して買い手の反応を調べる、といった順序を考えます。
外れた場合の影響が大きく、証拠の少ない前提から着手します。

小さな実験の組み立て

学習のための最小限の製品や提供方法を、MVPと呼びます。
この例では、初めから決済付きアプリを開発せず、対象店舗を絞って担当者が取引を仲介する方法も考えられます。
手作業でも、提示した条件で注文が入り、受け渡しが完了するかを観察できます。

実験前には、仮説、確かめ方、測るもの、次の判断に進む基準を記録します。
「興味がある」という回答と、条件を理解したうえでの注文は、異なる証拠として扱います。
登録者数だけを見ると、取引する意思のない登録も成果に含めてしまいます。

学習を次の判断につなげる

構築、計測、学習の循環では、結果に応じて仮説を更新します。
注文が入らない場合は、需要がないのか、価格や受け渡し条件が合わないのか、対象店舗が違うのかを切り分けます。
一度の小規模な実験だけで市場全体の需要を断定することはできません。

根拠が増えた前提には投資を進め、根拠の弱い前提には別の実験を設計します。
戦略の大きな変更が必要なら、何を残して何を変えるかを明確にしてピボットします。

実際の事業モデルの整理と診断については、リーンスタートアップの記事目次も参照してください。

参考資料