事故や失敗の経済的な負担を、すべて自社で引き受ける以外の方法があります。
リスク移転は、契約や保険などによって、特定の損失や対応の負担を他者へ移すことです。
NIST SP 800-39は、共有や移転を含むリスク対応を示しています。

移す対象を限定する

仮の例として、機器の輸送中に破損が起きる可能性を考えます。
運送や保険の契約で、どの条件の損害を、誰がどの範囲まで負担するかを取り決められます。
ただし、金銭の補償があっても、顧客へ機器を届けられない期間がなくなるわけではありません。
代替品の手配、顧客への連絡、再製造の時間は別に計画します。

契約内容は、対象物、事故の条件、上限、対象外、手続きによって異なります。
「委託したから移転できた」と一括せず、どの損失や業務を移し、何が自社に残るかを確認します。
具体的な義務や責任の扱いは、適用される法令と契約に依存するため、国や取引条件を特定して判断します。

委託先への依存を確かめる

業務を外部へ移すと、自社の作業を減らせる一方、相手の能力や継続性へ依存します。
輸送会社が対応できない時期や、複数の委託先が同じ拠点を使う場合には、代替が機能しない可能性があります。
委託先を増やした数だけで分散できたと判断せず、共通の依存を調べます。
支援を求める連絡経路と、報告される情報の内容も決めます。

費用の比較には、保険料や委託料に加えて、確認、連絡、証拠の保存に必要な作業を含めます。
損失が起きた際に必要な情報が残らないと、想定した対応を受けられない場合があります。
実際の受け渡しと記録を試し、契約の想定と運用が一致するかを確認します。

移転を選んでも、事故を起こりにくくする対策が不要になるとは限りません。
梱包や保管の条件を改善することと、起きた損失の負担を配分することを分けて考えます。
契約更新や製品変更の際には、移転した範囲と残余リスクを見直します。
関係者に残る役割を示すことで、委託後に誰も対応を準備しない状態を避けます。

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