顧客が求めた機能をそのまま作っても、実際の困りごとが解消しない場合があります。
デザイン思考は、人の状況や経験を理解し、問題の捉え方と解決案を、試作と学習を通じて見直すアプローチです。
人にとって望ましいこと、技術上可能なこと、事業として成立することを合わせて考えます。

解決案の前に状況を調べる

仮に、店舗の待ち時間を知らせる画面を求められたとします。
利用者を観察すると、待つ時間そのものに加え、いつ戻ればよいかがわからず、その場を離れられないことが問題かもしれません。
この理解なら、画面以外に通知や順番の取り方を変える案も比較できます。

調査で聞いたこと、観察した行動、チームの解釈は分けます。
一人の強い発言を顧客全体の問題とみなさず、どんな条件で起きるかを調べます。
最初に定めた問い自体を変更することも、学習の一部になります。

複数案を形にして比べる

問題を具体化したら、異なる解決案を作ります。
最初の案を磨くだけでは、より簡単な方法を見落とすことがあります。
比較したい疑問に合わせ、紙の説明、画面、模型、手作業の提供などを選びます。

待ち時間の例なら、通知の文面や、店舗を離れてから戻る流れを試せます。
見た目の好みだけでなく、利用者が状況を理解し、次の行動を選べるかを観察します。
結果によって案を修正し、必要なら問題の定義へ戻ります。

手順の消化で終えない

デザイン思考には複数の説明や段階の表し方があります。
一つのワークショップの順番を、あらゆる開発で固定して使う必要はありません。
実際に何を学び、どの判断を変えたかを残します。

顧客が望む案でも、提供費用や運用の条件を満たさなければ、そのまま続けられません。
実現可能性分析や事業の検証を合わせ、コンセプトテストとラピッドプロトタイピングを、必要な問いに応じて使います。

参考資料