スケッチ(Sketch)は、考えている形、配置、利用の場面、仕組みなどを、簡単な線や図で表したものです。
製品開発では、頭の中にある案を外へ出し、他の人と比較したり、問題を見つけたりするために使います。
完成した製品を美しく描くことだけが目的ではありません。

言葉では同じ案に賛成していても、具体的に描くと、想像していた構造や操作が違うと分かる場合があります。
短い時間で複数案を描けることは、初期の探索に役立ちます。

何を考える図かを決める

仮に、片手で使う小型の測定器を検討するとします。
外形、握る位置、表示を見る向き、ボタンを押す動作を描けば、単なる機能一覧では見えにくい関係を議論できます。

一枚にすべてを盛り込む必要はありません。
手で持つ様子を描く図、部品の配置を示す図、使う前後の流れを描く図では、答えたい疑問が異なります。
図の目的と、まだ決まっていない部分を短く添えます。

形を描くのが難しくても、四角、矢印、人物、短い注記を組み合わせれば、案の違いは伝えられます。
Nielsen Norman Groupも、共同のスケッチでは、描画の完成度よりアイデアの生成と伝達を目的にすることを勧めています。

複数案を並べて検討する

最初の一案だけを丁寧に描くと、その案を前提に話が進みやすくなります。
持ち方や表示の位置が異なる案を並べ、利用者の作業と制約に照らして比べます。
「好きな絵」を選ぶのでなく、各案で何がしやすくなり、何が難しくなるかを説明します。

共有するときは、描いた本人の説明だけに頼らず、他の人がどう解釈したかも確認します。
誤解があれば、注記や図の構成を直します。
そのやり取りから、要求や前提が曖昧だった箇所も見つけられます。

スケッチで確かめられる範囲

図を見て持ちやすそうと感じても、実物の重さや重心、指の届き方までは確かめられません。
重要な疑問が立体的な操作に移ったら、モックアップなどを作り、実際に持って確認します。

画面の配置を検討するならワイヤーフレーム、利用の前後を含む体験を示すならストーリーボードへつなげられます。
どの表現も、判断したいことに合わせて細かさを選びます。
絵が整ったことを、設計や需要の検証が済んだ証拠にはしません。

参考資料