既存の会社でも、まだ顧客や収益の仕組みが定まらない事業を作る仕事があります。
社内起業家(Intrapreneur)は、企業の内部で新しい事業機会を見つけ、資源を組み合わせて実現を進める人です。
独立した起業家と比べると、既存企業の技術や顧客基盤を使える一方、組織内の判断や利害の調整が加わります。

既存事業と異なる前提を扱う

たとえば、機器を販売する会社で、利用時間に応じたサービスを提案するとします。
機器を持つ人、費用を払う方法、保守を担う人が変わるため、製品の仕様だけでは判断できません。
顧客の導入条件、継続利用、提供に必要な作業を調べます。
既存の販売件数だけで初期の活動を評価すると、事業の前提を調べる仕事が後回しになります。

試す権限を具体化する

社内起業家には、調査へ使える予算、担当者の時間、利用できる顧客情報などが必要です。
誰が試行を承認し、何がわかれば次の投資を決めるかを、スポンサーと共有します。
顧客へ本格提供を約束する前に、限定した範囲で試せる条件も確認します。
「自由に挑戦してよい」という言葉だけでは、関係部門が協力する範囲は決まりません。

試行の結果から、元の案を修正する選択も用意します。
利用時間課金の例なら、顧客が費用を予測しにくいと感じた場合、定額の範囲を設ける案などを比較できます。
組織内の説得を目的に、都合のよい回答だけを集めないようにします。
需要と提供能力の両方を確かめた証拠を残します。

推進者が抜けても続く仕組み

属人的な人脈や残業だけに依存すると、担当の異動で活動が止まります。
顧客の状況、判断理由、必要な技能、未解決の制約を共有し、組織として次の担当と資源を決めます。
チャンピオンは案を推進する働きに着目する概念で、必ずしも新規事業の形成まで担うとは限りません。
起業家との違いを肩書で固定せず、実際に引き受ける責任と判断権限を確認します。

参考資料