新しい案が多くても、どの顧客の問題と能力へ投資するかが定まっていなければ、活動は分散します。
イノベーション戦略は、実現したい変化と事業の方向に合わせ、探索する領域、投資、能力の獲得、判断の方法を選ぶ方針です。
オスロマニュアルの企業能力の章も、競争の方針と、それを実行する組織や技術の能力を扱っています。

対象と実現方法を結びつける

仮の例として、業務用厨房機器の会社が、調理そのものに加えて清掃の負担を減らす方針を選ぶとします。
新しい機器の構造、洗浄のサービス、消耗品の提供など、異なる案を検討できます。
どの顧客のどの作業を対象にし、機器販売と継続サービスのどちらで価値を得るかを示します。
「新技術を活用する」だけでは、各案の採否を判断できません。

必要な能力も整理します。
洗浄サービスなら、材料や構造の知識だけでなく、定期訪問、記録、品質の確認が必要です。
社内で獲得する能力と、協力先から得る能力を分け、学ぶ期間と費用を配分します。
同じ人員を既存製品の改善にも使うなら、その制約も計画に含めます。

探索と継続の判断

初期の案件には、対象の問題が繰り返し起きるか、解決策で負担が減るかを確かめる目標を置きます。
提供が始まった案件には、利用、収益、運用費用などの実績を使います。
すべてへ同じ短期売上目標を置くと、探索の目的が失われる可能性があります。
一方、探索だから結果を問わないのではなく、どの前提をどの期限までに確認するかを決めます。

投資の見直しでは、案の数より、対象領域と能力の獲得が進んだかを見ます。
顧客の問題が当初と異なるとわかったら、戦略の対象を変えるか、案件を変えるかを区別して判断します。
個々の案件の都合に合わせて方針を広げ続けると、優先順位がなくなります。

戦略には、取り組まない範囲と、方針を見直す条件も残します。
外部の技術や顧客行動の変化を定期的に確認し、従来の成功方法を前提にしすぎないようにします。
方針、資源、実際の採否が一致しているかを確認することで、戦略を説明資料だけで終わらせずに済みます。

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