仕様書では同じものを想像しているつもりでも、形にすると、持ちにくさや操作のわかりにくさが見つかることがあります。
ラピッドプロトタイピングは、試作品を短い周期で作り、試し、その結果を次の設計に反映する進め方です。

製造業では、3次元データから3Dプリンターなどで部品を短期間に造形する技術を指すことがあります。
ソフトウェアやサービスの設計でも、画面や手順をすばやく試作して反応を調べるという意味で使われます。
どちらの場合も、試作を通じて確かめたい疑問を先に決めます。

疑問に合わせた試作品

仮に、倉庫で片手操作する端末を設計するとします。
大きさや握り方を確かめるなら、画面が動かない模型でも役立ちます。
作業者が手袋をしたままボタンを押せるかを見るには、実物に近い大きさの操作部分が必要です。

一方、読み取り速度や通信の安定性は、外観の模型だけでは判断できません。
技術上の疑問を調べるために、読み取り装置や通信部分を動かす別の試作品を用意します。
一つの試作品で何でも検証しようとすると、不要な作り込みが増えます。

試してから変更するまで

短い周期で学ぶには、試作の完成ではなく、次の設計判断までを一区切りにします。

  1. 確かめる疑問と、観察する行動や測定項目を決める。
  2. その疑問に答えられる範囲だけを作る。
  3. 想定する条件で試し、迷った場面や不具合を記録する。
  4. 設計を変える理由と、次に確かめる点を整理する。

端末の例なら、「ボタンが小さい」という感想に加え、押し直しが起きた場面や、持ち替えた理由を観察します。
変更後に同じ作業を試すことで、問題が減ったかを比較できます。

試作から判断できる範囲

見た目が製品に近くても、耐久性や量産時の品質まで確かめられたとは限りません。
3Dプリンターで作った部品と、量産する材料や製法が異なれば、強度や表面の性質も変わります。
画面の試作品も、大量のデータを扱う性能や、実際の外部システムとの接続を再現していない場合があります。

試作品には、再現している条件と省略した条件を添えます。
使い勝手、技術上の実現可能性、顧客が選ぶかといった疑問を分け、必要な証拠を得られる試作品やMVPを選びます。
製品案そのものへの反応を調べる方法は、コンセプトテストで説明しています。

参考資料