顧客に提供するものを変えたときは、その変化が顧客の仕事にどう役立つかを確かめる必要があります。
製品イノベーションは、従来の提供物と大きく異なる、新しい製品や改善した製品を市場に投入することです。
この「製品」には、有形のモノとサービス、その組み合わせを含みます。
『オスロマニュアル2018』第3章の定義に基づけば、既存製品の使いやすさや信頼性の大きな改善も対象になります。

新しい機能を顧客の変化で説明する

仮の例として、飲食店向けの計量器に、測った重量を発注サービスへ送る機能を加えるとします。
従来、店員は重量を紙に記録し、閉店後に別の画面へ転記していました。
新しい製品で転記を省けるなら、評価すべき変化は「通信機能を搭載した」ことに加えて、「発注前の作業時間と転記の誤りが減った」ことになります。

この場合、開発チームは通信の成功率だけを測っても、顧客が得た便益を判断できません。
店員が手袋をしたまま操作できるか、通信が途切れたときに記録を失わないか、締め時刻に発注を終えられるかを確かめます。
追加機能が新たな確認作業を増やせば、従来の方法のほうが早い場面も生じます。
利用場面を通して比較することで、仕様書の性能値だけでは見えない負担を把握できます。

製品と社内業務の変更を区別する

同じ計量器でも、メーカーが組み立て工程を変えて生産時間を短くした場合は、変更の対象が社内業務になります。
顧客に提供する機能や特性が変わったかどうかと、生産や販売の進め方が変わったかどうかを分けて記録すると、開発の狙いを説明しやすくなります。
両方を同時に変える企画では、顧客の利用結果と、自社の業務結果のそれぞれに評価項目を置きます。

また、改善した製品でも、すべての性能が同時に上がるとは限りません。
通信部品を搭載したために電池の持ち時間が短くなるなら、店舗での充電方法まで含めて受け入れられるかを確かめます。
新しい機能の利用率と、既存の用途で生じた不便を合わせて見る必要があります。

提供前後で確かめること

企画段階では、顧客が現在どの方法を使い、どこで時間や費用を失っているかを調べます。
試作品では、発注までの一連の作業を試してもらい、操作できることと役に立つことを分けて確かめます。
市場投入後は、実際の利用頻度、作業の削減量、問い合わせ、継続利用を追います。

新製品を発売したという事実だけでは、次の投資を決めるには情報が足りません。
対象とした店舗で便益が生じているか、提供や保守の費用に見合うかを確認して、改善する機能と対象顧客を絞ります。

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