各部門が新製品を提案しても、組織全体でどの成長を目指すかが決まっていなければ、案件を比べる基準がそろいません。
イノベーション運営委員会(Innovation steering committee)は、イノベーションの戦略と財務上の目標をそろえ、投資全体と開発チームへ期待を示す経営上の場です。
会議名より、どの判断と資源に責任を持つかを明確にします。

個別案件の前に決めること

たとえば、計測機器の企業が、既存製品の改善と、新しいサービス事業の探索へ投資するとします。
委員会は、対象とする顧客、期待する事業上の変化、投資へ使える資源を共有します。
短期の収益を支える仕事と、将来の選択肢を調べる仕事に、どの程度を振り向けるかを検討します。
個別案件の売上予測だけを集めても、この配分は決まりません。

結果を資源配分へ戻す

進行中の案件から、顧客の反応、技術上の制約、必要な人員などの情報を受け取ります。
当初の前提が変わったら、新しい案件を足すだけでなく、既存案件を縮小、中止、統合する選択も比較します。
サービス探索へ投資すると決めても、担当者を既存案件へ戻し続けるなら、方針と実際の資源配分が食い違っています。
決定と資源の変更を同じ場で確認できる仕組みが必要です。

開発チームへの期待を具体化する

委員会が示すのは、細かな実装方法だけではありません。
どの結果を求め、どの条件の範囲でチームが判断できるかを示します。
調査段階なら、予測売上の精度より、次の投資へ必要な前提をどこまで確かめたかを聞く方法があります。
期待と報告の形式が一致していれば、チームは判断に必要な情報を用意できます。

製品承認委員会との関係

製品承認委員会は、個々の案件をゲートで評価し、継続や資源を決める働きに着目します。
同じ人々が両方を担う場合でも、戦略と投資全体の調整、個別案件の承認を分けて議論します。
組織ごとの名称に普遍的な職務を当てはめず、製品開発ポートフォリオを誰が判断するかを確認します。

参考資料