購入した人の割合がわかっても、なぜ選び、何をためらったかまでは数値だけで説明できません。
定性市場調査は、発言、観察、資料などを通じて、顧客の経験と判断、その背景を理解する調査です。
Nielsen Norman Groupの調査手法の整理では、理解したい問いに合わせて、定性と定量、態度と行動を分けています。

理由の候補を探る

たとえば、予約サービスの利用者が、最後の支払い画面で離れる場面を考えます。
入力の手間、キャンセル条件への不安、日程の再確認など、同じ行動にも異なる理由があり得ます。
画面を使う様子を観察し、何を考え、何を確かめたかったかを聞くと、原因の仮説を具体化できます。
離脱したことだけから「料金が高い」と断定しないようにします。

調査の相手は、仮説を比べられる条件で選びます。
初回利用と継続利用、購入した人と見送った人を比べるなど、判断に関わる違いを含めます。
全員が同じ属性であっても、予約の目的と切迫度が違うかもしれません。
人数だけをそろえるより、誰のどの経験を知りたいかを示します。

原文から解釈へ進む

記録は、参加者ごとの経緯を整理してから共通点を探します。
「不安」とだけ分類すると、料金、個人情報、日程のどの不安かが消えます。
原文、観察した行動、調査者の解釈を結びつけます。
反する例や、まだ理由を聞けていない場面も残します。

予約の例なら、キャンセル条件の説明を先に表示する試作を作り、必要な判断ができるかを確かめられます。
参加者が好意的に評価したことと、本番で予約を完了する割合が増えることは別です。
設計を変える材料と、効果の大きさを推定する証拠を分けます。

数に直すときの注意

複数人が同じ問題を話した事実は、その調査で共通して見つかったことを示します。
しかし、対象者を目的に合わせて選んだ少数調査から、市場全体の何割が困っているかは直接推定できません。
発言回数も、司会者の問いや話しやすさに影響されます。
数字を添える場合は、その範囲が調査参加者内だとわかるようにします。

仮説が見つかったら、追加の観察、別の対象者への聞き取り、質問票や行動実験を選びます。
最初の調査で理由をすべて確定したとせず、結果が変わる条件を調べます。
方法の具体化はデプスインタビューと顧客現場訪問、広がりの把握は定量市場調査を参照してください。

参考資料