設計部門が優れた製品を考えても、製造に手間がかかり、修理が難しく、販売後の支援に費用がかかることがあります。
製品の仕様だけを最適化すると、顧客に価値を届けるまでの別の工程に負担が移るためです。
リーン製品イノベーションでは、顧客価値を起点に、開発中の学習と、製品を提供する仕組みの両方を改善します。

関連する実践体系に、Lean Enterprise Instituteが紹介するリーン製品プロセス開発(LPPD)があります。
製品に加えて、その生産や提供に必要なプロセスも合わせて設計する考え方です。

開発の早い段階で確かめること

仮に、業務用の清掃機器を小型化するとします。
持ち運びが楽になるだけで顧客が選ぶとは限りません。
狭い場所での使い勝手、清掃能力、充電の頻度、保守の手間を、実際の使用場面で調べます。

並行して、設計者と製造担当者は、使う部品や組み立て方を検討します。
交換頻度の高い部品を奥に配置すると、小型化できても修理に時間がかかるかもしれません。
顧客にとっての扱いやすさと、供給側の作りやすさを、同じ設計判断の中で調整します。

複数案を残して学習する

詳細な仕様を早く固めると、後で不都合が見つかった際に変更範囲が広がります。
まだわからない点を整理し、決定に必要な情報が集まるまでは、複数の案を比較できる状態にしておきます。

  • 顧客の使い方については、観察と顧客現場訪問で確かめる。
  • 大きさや操作感については、試作品を使って比較する。
  • 製造や保守については、担当部門と部品構成や作業手順を検討する。
  • 採用しなかった案についても、条件と理由を残し、次の開発で参照できるようにする。

すべての案を最後まで残す必要はありません。
設計の条件を満たせない案を順に外すことで、後から理由なく選び直す手戻りを減らします。

開発速度を測る範囲

個人の作業時間が短くなっても、承認待ちや部門間の引き継ぎが長ければ、製品が届く時期は早まりません。
案件を始めてから顧客に届けるまでの流れを見て、情報が止まる場所や、判断のやり直しが生じる場所を探します。

試験や対話の時間を削ると、その場の作業は早く終わっても、後工程で問題が見つかることがあります。
リーンスタートアップによる事業仮説の検証とも組み合わせ、何を学ぶ必要があるかを共有して進めます。

参考資料