顧客の発言だけを記録すると、実際の行動や、その行動が必要になる状況を見落とすことがあります。
共感分析では、利用者の発言、行動、考え、感情などを、調査で得た根拠と照らしながら整理します。
相手の立場を想像するだけで結論を作らず、理解できていない点を明らかにするために使います。

観察と解釈を分ける

仮に、経費申請を何度も保存し直す利用者を観察したとします。
「保存を3回押した」は観察した行動です。
「処理されているか不安だった」は、本人に確認するまでは分析者の解釈です。
両者を分けて書くことで、想像した感情が事実として共有されるのを防ぎます。

整理の道具として、発言、考え、行動、感情を分けた共感マップを使うことがあります。
すべての欄を埋めるために、根拠のない内容を付け足す必要はありません。
空いている欄は、次の調査で確かめる問いとして残せます。

違いのある利用者をまとめすぎない

同じ画面でも、初めて使う人と、毎日使う人では、困る条件が異なります。
複数人の記録を一枚にまとめる際には、どの対象や場面を表しているかを示します。
矛盾する発言を平均的な一人の特徴へ押し込むと、設計で配慮する違いが消えてしまいます。

経費申請の例なら、処理状態が見えない問題と、申請を後から直せないと思っている問題では、必要な改善が違います。
発言と行動の背景を聞き、どの不確実さを減らす必要があるかを考えます。

解決策へ進む前の整理

得られた理解を、利用者が達成したいこと、妨げている条件、確かめる必要のある解釈に分けます。
「利用者は安心したい」だけで終えるより、どの情報が不足し、どの場面で判断できないかまで具体化します。
改善案を作ったら、同じ状況で問題が減るかを観察します。

顧客ニーズの記述や、コンセプトシナリオの作成に利用できます。
理解したつもりになることを避けるため、元の記録へ戻れる状態を保ちます。

参考資料