家具を購入する前に、部屋に置いたときの大きさや配置を確かめたいことがあります。
写真だけでは、実際の空間との位置関係をつかみにくいためです。
拡張現実(AR)は、現実の環境にデジタルの文字や画像、立体モデルなどを重ねて提示する技術です。

現実の空間と表示を結びつける

ARでは、現実にある床や物体の位置と、表示する情報の位置を対応させます。
スマートフォンのカメラ映像に重ねる方式や、透過型の表示装置を通して見る方式があります。
周囲を仮想空間へ置き換えるVRとは、現実の環境を見ながら利用する点が異なります。

仮に、設備の点検で交換する部品を示す用途を考えます。
部品名だけでなく、装置のどの位置を扱うかを重ねて示せれば、図面と実物を見比べる手間を減らせる可能性があります。
ただし、位置合わせがずれると、別の部品を指してしまいます。
情報の内容と表示位置の両方を確かめる必要があります。

試作で観察すること

製品開発でARを試すなら、まず解決する作業を一つ選びます。
作業時間、対象を取り違えた回数、画面と実物の見比べ方などを観察し、従来の方法と比較します。
照明、反射、遮蔽物、端末を持つ姿勢も、実際の利用条件に近づけます。

立体モデルを実物大に表示できても、設置後の強度や、実際に人が通れるかまで検証したことにはなりません。
ARが再現する条件と、実物で確認する条件を分けて記録します。
見た目の説得力が強いからこそ、位置や寸法の誤差を把握しておきます。

導入するかの判断

端末の準備や操作が増えれば、表示によって短縮できる時間を上回ることもあります。
表示を使わずに作業する場合も観察し、ARにする必要がある箇所を見極めます。
表現の新しさに加え、作業者が必要な情報を必要な場所で理解できるかを評価します。

小さな検証の作り方はラピッドプロトタイピング、現場の条件の調べ方は顧客現場訪問も参照してください。

参考資料