暗黙の製品要求は、顧客が製品に期待していても、質問や要望として明示していない要求です。
使い慣れた手順を当然だと考えている場合もあれば、困りごとをうまく言葉にできない場合もあります。
PDMAの用語集は、顧客が期待しながら求めてはいないことを、この用語で扱っています。

言われなかった要求を見つける

仮に、見積書を作る業務ソフトを開発するとします。
顧客からは「明細を素早く入力したい」という要望だけが出ていても、既存の取引番号を引き継ぐことや、発行後の訂正履歴を残すことが必要かもしれません。
入力画面の評価だけでは、前後の業務とのつながりを見落とします。

現場では、作業の観察、帳票の確認、例外が起きたときの聞き取りを組み合わせます。
ただし、観察した手順をすべて要求として固定しないようにします。
古い道具の制約で残った作業と、顧客が守る必要のある成果を分け、何のために行っているかを確かめます。
「取引番号が対応しないと照合できない」のように、必要性を具体的に説明できる状態を目指します。

仮説を要求へ変える

暗黙の要求を見つけたという判断は、開発者の推測から始まることがあります。
発言、観察した行動、推測した理由を分けて記録し、顧客に利用場面を示して確かめます。
確認後は、条件と期待する結果を明示し、試験やレビューで判定できる要求へ変えます。
暗黙のまま仕様に埋め込むと、後から根拠を確認できなくなります。

狩野らの品質研究は、充足と不充足が満足度に与える影響を分類しています。
ただし、口に出されない要求がすべて「当たり前品質」になるわけではありません。
要求を表明したかという区別と、満たしたときの満足への影響は別の軸です。
利用者や業務が変わる場合には、以前に確認した期待も改めて調べます。

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