総合的品質管理(Total Quality Management、TQM)は、顧客の要求を満たし続けるために、経営層から現場までが参加して、製品、サービス、仕事の進め方を継続的に改善する経営アプローチです。
品質部門が検査を強化するだけでは、実現できません。
設計、調達、営業、保守など、顧客へ価値を届ける一連の活動が対象になります。

たとえば、製品自体に不具合がなくても、誤った説明で販売され、約束した日に届かず、問い合わせにも答えられなければ、顧客は満足しません。
TQMでは、部門ごとの成果と、顧客が受け取る結果のつながりを考えます。

経営の方針を日々の仕事へつなげる

仮に、機器メーカーで納入後の設定に関する問い合わせが増えているとします。
サポート担当者の応答を速くするだけでは、同じ質問が繰り返されるかもしれません。
設定画面、説明書、販売時の案内を調べ、問い合わせが起きる原因を関係部署で検討します。

経営層は、何を品質上の優先課題とするかを示し、改善に必要な時間や権限を確保します。
現場は、実際の作業や顧客の反応を基に問題を具体化します。
改善の提案を求める一方で、部門を越える変更を誰も決められない状態では、活動が続きません。

結果と工程の両方を見る

問い合わせの件数や顧客満足は、改善の結果を知る手がかりです。
ただし、件数の減少は、製品の販売数が減ったためかもしれません。
対象となる顧客数や利用状況も合わせて確認します。

工程側では、説明書を利用者が試す機会、仕様変更の伝達、担当者の教育などを調べます。
結果の指標だけでは悪化の理由が分からず、活動の件数だけでは顧客に役立ったかが分かりません。
改善の仮説、実施した変更、観察した結果を結び付けて記録します。

問題を個人の注意不足として終わらせず、間違いやすい手順や不足した情報も検討します。
一方で、手順を決めるだけで解決したとは考えず、実際に守れているか、顧客への結果が変わったかを確かめます。

活動を続ける条件

TQMには、あらゆる組織へそのまま適用できる一つの実施手順があるわけではありません。
改善活動、教育、データの利用、部門間の協力を、事業の目的に合わせて組み合わせます。
小さな問題を現場で解決する仕組みと、設備や設計を変える経営判断の両方が必要です。

ISO 9000シリーズの品質マネジメントシステムや、シックスシグマの分析を取り入れることもできます。
ただし、認証の取得や手法の導入だけを到達点にせず、顧客の要求が変わったときにも、仕事の進め方を見直せる状態を保ちます。

参考資料