生産性設計(Design for Production)は、製品を必要な数量、品質、費用、納期で繰り返し生産できるように、設計段階から生産の条件を考慮するアプローチです。
試作品を一台作れることと、計画した数量を安定して供給できることは、異なる課題です。

部品の加工しやすさに加え、組立、検査、設備、作業者、材料の供給までをつないで考えます。
大量生産だけが対象ではありません。
少量多品種の製品でも、切り替えや調整を無理なく行えるかは、設計上の重要な条件です。

生産の流れに沿って検討する

仮に、月に数百台作る計測機器を開発するとします。
部品を加工し、基板を組み込み、調整し、完成品を検査する流れを想定します。
加工や組立を速くできても、個体ごとの調整に長い時間がかかると、そこで生産量が制限されます。

設計で調整箇所を減らす、検査用の接続を用意する、部品のばらつきを考慮するといった案が考えられます。
製品の形状だけでなく、治具、測定器、作業手順など、製品を作るための手段も必要です。

NASAの製品実現の説明でも、設計仕様に加え、工程、設備、材料、訓練された作業者などの準備が扱われています。
設計図が完成したことだけで、生産の準備が整ったとは判断できません。

生産数量と変動を織り込む

想定する生産量、品種数、需要の増減によって、適切な設計は変わります。
専用設備に合わせた構造は一個当たりの作業を減らせても、仕様変更や数量の減少に対応しにくい場合があります。
共通部品や共通の接続条件を採用すれば、品種を切り替える負担を減らせる可能性があります。

また、部品の入手性も確認します。
特定の供給元しか作れない部品を使うなら、納期の変動や代替品への変更が、品質や生産計画へどう影響するかを検討します。
調達上の問題を、量産開始後に初めて知る状態を避けます。

実際の工程で成立を確かめる

試作では、熟練者の調整や手直しによって問題が見えにくくなることがあります。
想定する設備、材料、手順に近い条件で試し、作業時間、不良、再加工、検査の負担を確認します。
数量を増やす場合は、設備の能力だけでなく、品質のばらつきにも注意します。

製造・組立性設計は、こうした検討を具体化する手段です。
生産性の目標は、単に速く作ることではありません。
必要な品質を維持し、計画した供給を実行できる設計と工程を、合わせて成立させることにあります。

参考資料