顧客が使い続ける理由も、製品を届ける方法も、事業の途中で変化します。
開発の初期に検証した仮説が、その後も成り立つとは限りません。
継続的イノベーションは、こうした変化の中で、顧客に提供する価値と事業の成り立ちを継続して見直す考え方です。

「継続的」という語は、改善を繰り返す頻度にも、事業開発の進め方にも使われます。
このサイトのリーンスタートアップ関連の記事では、Ash MauryaのContinuous Innovationを扱っています。
製品の機能だけでなく、顧客、収益、提供方法を含む事業モデルを学習の対象にします。

機能の改善と事業モデルの検証

仮に、会議の録画を文字起こしするサービスで、個人利用者の解約が続いているとします。
文字認識の精度を上げる案は、既存機能を改善する取り組みです。
一方、解約した顧客への調査から「個人の記録より、部署で決定事項を共有したい」という事情がわかれば、利用単位や料金体系も見直す対象になります。

後者では、共有機能を追加するだけでは判断が終わりません。
誰が導入を決めるのか、管理者の設定作業はどれくらいか、部署単位の料金を支払うかを確かめます。
利用が増えても、導入支援に費用がかかりすぎれば、事業モデルは成立しない可能性があります。

モデルと実験を往復する

取り組みを続けるには、日々の観察を意思決定につなげる機会を設けます。

  1. 現在の事業モデルと、顧客に起きてほしい変化を整理する。
  2. 利用状況や顧客との対話から、成り立たなくなった前提を探す。
  3. 影響の大きな前提を選び、小さな実験で証拠を集める。
  4. 結果をモデルに反映し、続ける投資と見直す投資を決める。

この手順は実践の一例です。
実験の回数や顧客との面談数だけでは学習の質を測れないため、結果によってどの判断を変えたかも記録します。

近い用語との違い

漸進的改善は、既存の製品や仕事を小さく改良する変化を指します。
継続的イノベーションでは、そうした改善とともに、別の顧客や提供方法の探索も扱います。
変更の大きさを一律に小さく制限する考え方ではありません。

継続的デリバリーは、ソフトウェアを安全にリリースできる状態を保つ実践です。
届ける仕組みが整っていても、顧客が価値を認めるか、事業が継続できるかは別途確かめる必要があります。

背景を含む解説は、シリーズ内の継続的イノベーションにあります。

参考資料