実際の製造費用が増えたとき、材料を多く使ったのか、購入単価が上がったのかで対応は変わります。
標準原価は、想定する数量、時間、単価などの基準を使って、あらかじめ設定する原価です。
OpenStaxの解説は、実績と比較するための数量と価格の基準を区別しています。

数量と単価を分ける

仮の例として、製品一個に材料を2kg使い、一kgの単価を500円と想定すると、材料の標準原価は1,000円です。
実際には2.2kgを使い、単価が550円なら、実際の材料費は1,210円になります。
差の210円を、現場の作業だけに帰属させることはできません。
使用量と購入単価のどちらが変わったかを確認し、比較の方法をそろえます。

作業時間や設備の費用についても、対象の範囲と配分の基準を示します。
数量、稼働率、製品構成が違えば、一個あたりの費用は変わる場合があります。
標準をどの生産条件で作ったかを残しておくと、実績の差を解釈できます。

差異を問題の調査へ使う

使用量が増えた場合には、不良、材料の品質、設計変更、計測方法などを調べます。
単価が下がっても、不良や検査の時間が増えるなら、全体の費用が下がったとは限りません。
有利な差異と不利な差異を、単純に担当者の良否として扱わないようにします。
原因を確認し、改善、調達、設計のどこを変えるかを判断します。

標準が現実の条件から外れていれば、差異の情報は役立ちにくくなります。
長期間変わらない単価や、実行できない作業時間を使い続けると、毎回同じ説明が必要になります。
条件が変わった場合は標準を見直し、いつ何を変更したかを残します。
実績が悪かったから基準を緩めたのか、条件が変わったため更新したのかを区別します。

標準原価は、販売価格や追加受注の判断を自動的に決める数字ではありません。
配分された固定費が、その判断で実際に増減するとは限らないためです。
判断の目的に応じて、変わる費用と変わらない費用を別に確認します。
原価の差を報告して終えず、どの前提が変わり、どの行動へつなげるかを記録します。

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