リーンキャンバスの診断(6/7):実現性のストレステスト
このチームは実現できるか?
チームにとっての実現性とは「このソリューションを構築できるか」です。
私が考える実現性とは、3つのT(チーム、トラクション、タイムライン)の3要素に集約されます。
背景のセクションで大まかなトラクションは把握できましたが、単一のデータポイントにすぎません。チームが「トラクションロードマップ」の初回ドラフトを完成させるまでは、トラクションとタイムラインについて議論するのは時期尚早です。これは事業性セクションの宿題だったので、次回までに完成させる必要があります。
完成したトラクションロードマップは以下の通りです:
トラクションロードマップは、製品の各ステージにおける主要なマイルストーンを可視化するもので、チームが適切なタイミングで適切なアクションをするための重要なツールです。
では、トラクションロードマップが完成するまでは何を議論するのでしょうか?私は以下の「10倍ステージ展開チャート」を用いて、簡易的なリスク評価をしています。
製品にトラクション(顧客)がない場合、実現性ではなく需要性が最も重大なリスク要因です。より多く顧客にリーチするようになっても、実現性よりも事業性のほうが重要です。
イノベーターのバイアス(ソリューションへの愛着)の影響で、ほとんどのチームはこのリスクの優先順位を逆転させ、顧客や市場よりも製品を優先する傾向があります。
この優先順位を変えてもらいたいと思っています。ただし、それは講義として教えるのではなく、チームに対して実験を行います。
イノベーターのバイアス(ソリューションへの愛着)を解消するには、講義では効果がありません。
実験の種類は、チームのコーチャビリティによって異なります。
戦術的実験
チームのリスク評価と現在のアクションが上記のチャートと一致している場合(滅多にないが)、残り時間で実験の設計を行うとともに、戦術的な障害物を取り除きます。
たとえば、チームが顧客との対話が必要だと理解しているにもかかわらず、インタビューの設定に苦戦している場合、私は支援を提供します。
思考的実験
チームのリスク評価が上記のチャートと一致しない場合でも、チームのコーチャビリティが高ければ、私は現在のアクションの方針に対して合理的な反論を試みます。
たとえば、大きな製品を開発しようとしていたら、スコープを縮小して小さな製品を迅速に開発すべきだとか、コンシェルジュ型やオズの魔法使い型のアプローチの使用を提案します。具体的な成功事例(例:Tesla, Airbnb, Facebook)を引き合いに出せば、チームに新しい戦略への軌道修正を促すことができます。
学習的実験
しかし実際には、以下の4つの「危険な動物」のいずれかに該当するケースが多く見られます:
- HiPPO:高給取りの意見(Highest Paid Person’s Opinion)
- WOLF:緊急事態に対応(Working On Latest Fire)
- RHINO:名前だけここにいる(Really Here In Name Only)
- ZEBRA: 根拠ゼロだが傲慢な態度(Zero Evidence But Really Arrogant)
このような状況では「柔道戦略」と呼ぶべきアプローチが必要です。
柔道の世界では、体格の大きな相手に立ち向かう際、正面から立ち向かうのではなく、相手のバランスを崩すことを狙います。
より実践的なアプローチとしては、誤ったタイミングで誤ったアクションに固執し、聞く耳を持たないチームに遭遇した場合、彼らのニーズではなくウォンツに歩み寄ります。そして、それを迅速に実行する方法を提案します。ただしそれは早く失敗するためです。
たとえば、トラクションがないのに資金調達に注力しているチームがいたとしましょう。私なら説得しようとするのではなく、投資家向けの10ページのスライド資料を共有し、レビューを申し出ます。
スライドを作成していくと、投資家が重視するのはトラクションであることがすぐに明らかになります。そして、スライドを作成できないという事実を体験することで、チームはトラクションを獲得することが自分たちの解決したい課題だと認識するようになります。



