リーンカンファレンス2014
リーンカンファレンス2014 で「セールスバッファマネージャー開発事例」の司会をしてきました。
SGT2014 の「アジャイルアカデミー課外授業」に続く、司会業第二弾でしたが、慣れないことをするとドッと疲れますね。でも、いい経験となりました。
自分たちの発表はさておき、興味深かったセッションの感想をメモしておきます。
トヨタのカタとリーン製品開発(稲垣公夫)
稲垣さんのリーン製品開発の講演を聞くのは(たぶん)4回目ですが、これはリーンスタートアップに興味のある方は抑えておくべきテーマだと思います。簡単にまとめると、製品開発では「事業目的」「顧客価値」「技術能力」の3つのバランスをとる必要がある。これを「構想設計」というフェーズにおいて、仮説検証を繰り返しながら学習していく(知識ギャップを埋めていく)。人間にとって不確実性は不安なので(非耐性)、とりあえず手を動かして作ってしまおうとするが、意思決定は遅らせなければいけない(課題解決を先にしなければいけない)、という感じです。
仮説検証のあたりはリーンスタートアップと同じですね。ここを勘違いして、「トヨタ生産方式」を参照してしまうと、おそらく本質を見誤ってしまいます。エリック・リースもそんなことを主張してますけど、あれはよくわかってないからだと再認識しましたね。
それプラス、今回は「TOYOTA KATA」の説明がありました。もうちょっと内容を聞かないと判断できませんが、「型」の重要性については、ロバート・C・マーティン(アンクルボブ)などもよく強調しています(それはそうと『コーディング道場』を訳さないといけない……)。
メイカーズ革命~オートデスクにおける3Dプリンタへの取り組みとアジャイルなビジネス環境~(塩澤豊)
自社の手がけるCADソフト(AutoCAD)をテーマの中心に据えて、昨今の3Dプリンタ、Makers、ハードウェアスタートアップなどの盛り上がりを見事にまとめていらっしゃいました。若い人にとっては新鮮なネタはなかったかもしれませんが、今回の客層を考えると相当インパクトがあったのではないかと思います。説明も本当に素晴しかった。それから、iPhoneで3Dモデリングができる 123Dcatch はすごいですね!
大野耐一の創り方(金田秀治)
いちばん衝撃を受けたセッション。まさに「平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦」でした(分かる奴だけ分かればいい)。
- 変化し続ける企業
- 「困り方」が足らん by 大野耐一
- 「モウケル」と「モウカル」は違うぞ。by 大野耐一
- <ありたい姿><アイデア><チャレンジ> チャレンジ>アイデア>ありたい姿>
- 後出しジャンケンで、リードタイムを短縮する
それから、なんといっても2つのTPSですね。これは勉強になる!
TPS1は負けないための改善であり、今日のための仕事であり、不具合対策。
TPS2は勝つための改善であり、明日のための仕事であり、新しいことへのチャレンジ。
最初の話に戻りますが、リーンスタートアップはTPSを引き合いに出してはいけない……のだけど、こういう分け方があるなら、TPS2(大野方式)は引き合いに出してもよいと思い直しました。
ただし、エリック・リースの言う「バッチサイズを小さくする」というのは「整流化」だから、あくまでもTPS1なのであって、引用するのは間違いのように思います。TPS2の例としては「後工程の引取」が引き合いに出されていましたので、やはりプルベースのほうがリーンスタートアップにおいても重要な概念だと思いました。
その後のパネルディスカッションでも、会場から昭和ライダーが豪快に登場したのも感激しました。
本当に楽しいカンファレンスでした。