セットベース開発としてのリーンスタートアップ
アジャイル開発はイテレーションやスプリントを繰り返す「反復漸進的開発(IID)」がベースとなっています。また、リーンスタートアップでは「構築・計測・学習ループ」を回すように提唱されています。
こうした「反復」や「ループ」という言葉を耳にすると、なんだか同じところをグルグルまわっているような印象を受けることはないでしょうか。もちろん反復のたびに少しずつ改善されているわけですから、正確に「同じところ」を回っているわけではない!と主張することもできると思います。
しかし、無意識にリーンな最短経路を目指してはいないでしょうか。アジャイルであれば、1つの機能を1つの選択肢で実装してはいないでしょうか。こうしたやり方を「ポイントベース開発」と呼びます。そして、これは「リーン」ではありません。
本来であれば、いずれも「事前にあらゆる可能性を検証する」ものでなければいけません。特にリーンスタートアップにおいては、「ループをまわす」だけでは不十分です。MVPを完成させる前の段階で、Low-Fidelityなプロトタイプを「複数」作成して検証する必要があります。
このことをリーン製品開発では「セットベース開発」と呼んでいます。これが本来の語源となるべき「リーン」です。カンバンやバッチを小さくするなどといったことを引き合いに出して「リーンスタートアップはトヨタ生産方式を参考に……」などと説明するのは、実質的には間違いです(Eric Riesェ……)。
みなさんには是非とも「セットベース開発としてのリーンスタートアップ」を目指していただきたいと思います。