リーンキャンバスから事業計画書へ
引き続きリーンキャンバスのネタ。リーンキャンバスを書いたら、あとはもう建物の外に出るなり、プロトタイプやらMVPやらを作るなりして、足や手を動かしていただければいいのですが、大きい企業さんだとそういうわけにもいかず、プロジェクトを進めるにはドキュメントが必要になります。事業計画書ですね。
とはいえ、あまり長いものを書きたくないので、短そうなテンプレートを探してみますと、10-20-30の法則で有名なガイ・カワサキの『完全網羅 起業成功マニュアル・ガイド』(海と月社)に事業計画書のアウトラインが載っています(10-20-30というのは、スライド10枚・プレゼン20分間・30ptのフォントという意味です)。
それがこちら。どん。
- タイトル
- 問題
- 解決策
- ビジネスモデル
- 製品・サービスの目玉
- マーケティング・販売
- 競合
- 経営陣
- 財務予測と重要指標
- 現状、ここまでの成果、スケジュール、資金の用途
本来はタイトルスライドの代わりにエグゼクティブサマリーがあるそうですが、考えるときには不要なのでとりあえず無視しましょう。
それでは、これを元にして事業計画書を作っていきます。
リーンキャンバスから事業計画書へ
ここではすでにリーンキャンバスを書き上げているものとします。そうすると、先ほどの事業計画書のうち、7つは埋まりました。タイトルは書けばいいだけなので、8つ終わったことにしましょう。早くも残り2つです。リーンキャンバスすごいですね!!
- タイトル → ささっと書いて
- 問題→[課題、顧客]
- 解決策→[ソリューション]
- ビジネスモデル→[収益の流れ、コスト構造、チャネル]
- 製品・サービスの目玉→[圧倒的な優位性、UVP]
- マーケティング・販売 → [UVP、チャネル]
- 競合→[既存の代替品]
- 経営陣
- 財務予測と重要指標→[収益の流れ、コスト構造、主要指標]
- 現状、ここまでの成果、スケジュール、資金の用途
ただし、リーンキャンバスの中身が薄い場合は、MBAの本やビジネス分析ツールの本などを参考にして、それぞれに肉付けしてください。余裕があれば、マクロ分析、市場規模(TAM)、製品ライフサイクルなども追加したほうがよいと思います(それぞれ、問題や解決策あたりに入れましょう)。
財務予測については5年間。なかでも最初の数年に注目するそうです。私はあまり詳しくないので、詳しい人に聞いてください……。
残り2つ
で、残り2つになりました。
「8. 経営陣」については、この人がビジネスモデルやったらうまくいきそう!みたいなプロフィールを考えて、顔写真入りでスライドを作ります。新規事業担当者であれば、プロジェクトの意気込みを。できればプロジェクトチーム全員分を入れるといいと思います。それぞれの得意分野や担当も入れておくといいでしょう。
「10. 現状、ここまでの成果、スケジュー ル、資金の用途」の前半部分「現状、ここまでの成果」については、これを埋めるためにも、できればスカンクワーク的に、顧客インタビューやMVPづくりを先行して始めておくとよいと思います。そうすれば、実際に「動くもの」を証拠として提示することができます。
「スケジュール」については、上記の財務予想と同じ期間を載せておきます。まずは直近の数年、それから5年単位の計画ですね。これもMVPが先にあれば、見通しが立ちやすくなると思います。ソフトウェアを開発するのであれば、2週間単位でイテレーションをまわして、n回のイテレーションでここまでやります、みたいな感じにしておくと開発スケジュールにもなって便利です。
ここで『アジャイルサムライ』(オーム社)のインセプションデッキも参考になるでしょう。「ご近所さんを探せ」は「8. 経営陣」に追加で、「夜も眠れなくなる問題」については「スケジュール」の備考として書いておくとよいでしょう。また、「解決策」のところには「パッケージデザイン」「やらないことリスト」「トレードオフスライダー」などを追加しておくのもよいと思います。
「資金の用途」については、どれくらいスケールするかを予想でいいので見積るしかないですねえ。。。スケジュールと財務分析と辻褄をあわせて、うまく捻出してみてください。場合によっては、ビジネスモデルのフェーズを複数にわけて、それぞれに必要なコストを計算しておく必要があるかもしれません(なので金くれ!的な)。
まとめ
リーンキャンバスを書いて、MVPを作っておけば、事業計画書の作成はそんなにやることないように思います。もちろん「カッチリ」としたものが必要であれば、カッチリとした書籍を参考にしていただく必要がありますが……予算規模の小さいプロジェクトであれば、10枚程度でもぜんぜん大丈夫(なはず)です!
もちろんリーンキャンバスを何度も書き直したほうが楽なのは言うまでもありません。
#leancanvas